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「お会計でございます」
2時間のプランもあっという間に過ぎて、お会計に出た。
外は相変わらず大雪みたいだ。
そしてレジの前で押し問答が始まる。
『え、いいよジスくん、今日は私が…』
「いいよ、僕が誘ったんだし」
『ちが、だって今日はジスくんが祝われる日…』
「うん、ありがとう。でもそれとこれとは話が別」
『別じゃないよ!私に奢らせて?』
「年下に奢らせるわけにもいかないでしょ、ましてやAちゃんなのに」
『もう私情はいったん置いといて、今日はジスくん誕生日でしょ?祝うのは私なの、祝われるのはジスくんなの、祝わせてよ!』
「さっきたくさん祝ってくれたでしょ?僕はそれで十分満足したよ?カードでお願いします。」
『あー!!』
今日という今日は私がお金を出さなきゃ、ジスくんは何のために産まれてきたの?って思っちゃうじゃん…
それでもジスくんはたまに、とてつもないマイペースで話を進めてしまう。今がまさにそれ。
にこにこしながらカード決済してるけど、それ、本来なら私がやるべきことだから…
『もう、ジスくんのばかー!』
「僕はバカだよ?Aちゃんバカ」
『い、いや…、そんなことは言わなくていいから…』
「もう気持ちも伝えちゃったし、隠す必要ないかなって」
『や、ちょっとそれは、やっぱりおばか!』
いきなりストレートに言われてもどう返したらいいかわからなくなる、積極的なジスくんは私の調子が狂うからやめてほしい。
『ひー、恥ずかしい』
「うわ、すごい降ってる」
『さっきよりもひどいね』
「タクシーで帰ろっか、送るよ」
『じゃあタクシー代を出す』
「大丈夫だよ、僕が最後に降りるんだし」
『いやいや途中までのお金置いていくから!』
「後日そっとAちゃんのお財布に返しておくね」
『おばかー!!』
言い合いをしながら大通りへと向かう、こんな天気だからかタクシーもなかなか捕まえられずにいた。
「Aちゃん、そのマフラー…」
『あ、うん、ありがとうね。あったかくて毎日つけてるよ』
「使ってくれてありがとう、僕も手袋、持ち歩いてるよ」
『今日はしないの?』
「うん、寒くないから」
『嘘だあ、手真っ赤だよ、冷やしちゃだめだよ見せてみて』
「えっ」
コートから控えめに見えるジスくんの手を摑まえて自分の手とすり合わせる。ほら、やっぱり冷たい。だって見る限り真っ赤なんだもん。こんなの傷ついちゃうよ。
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飴吐柚璃(プロフ) - オリジナルフラグ対象作品ではないため、オリジナルフラグをお外しください。 (2016年9月23日 15時) (レス) id: dd5e2ba253 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:貝柱 | 作成日時:2016年9月22日 13時