ぶきようなにんげん２ (ページ12)

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家に入るといつもの光景。
やっと緊張の糸が解けたのかどっと疲労感が押し寄せる。
なんで行く先々にミンギュがいるんだろう…、まあこの地域は大体行くところのパターンが決まってるから仕方ないけれど…
狭い地区だからこそ、気を使って行動しなくちゃいけないのもうんざりする。

そもそも私が変に意識しなければいいだけの話だけれど…

鳴り響く携帯の音で目が覚める。
また寝落ちしてたみたいで、気が付けば外は真っ暗だった。
ずっと鳴っているのは着信で、相手はオッパからだった。

『…オッパ？』

≪もしもしA？今どこにいる？≫

『え…誰…』

≪自分の家にいるの？≫

『そうだけど…』

≪お餅作ったから帰っておいで≫

寝起きのせいか電話越しの相手が誰なのかわからない。
ただオッパじゃないじゃないってことはわかる。

『電話の相手、間違えてませんか…』

≪何言ってるのA、寝惚けてるの？ミンギュだけど≫

『ミンギュ…？』

≪寝てたでしょ、寝起きの声してる≫

『……っ』

問答無用、相手がわかった瞬間通話終了ボタンを押す。

≪待って！切らないで！≫

『…なに？』

≪ごめん、少し時間くれる？≫

『……』

≪今までごめん、本当に≫

『…うん』

≪この前、本当に最低なことしたなって、謝りたくて…≫

『…もういいよ』

≪今もこうやって、ヒョンの携帯借りちゃった。俺からの電話だと出てくれないと思って…、ずるいことしてごめん≫

『うん』

≪今までみたいに、Aと笑えるかなって、思ったんだけど…難しいよね≫

『うん』

≪だから、これで最後にするね。≫

『うん…？』

≪Aと話すの、最後にする。今まで嫌な気持ちにさせてごめん。自分のことばっかり考えてた…≫

『…』

≪Aの気持ち考えたら、これ以上は近付けないから…≫

電話越しでも、どんな顔してるか想像できる。
きっと駄々をこねる子どものように、眉をしかめて口をすぼめているんだ。

でも、私はなんて返したら良いのかわからない。
耳元で大きく息を吸う音が聞こえた。

≪頑張れなかった、ごめん≫

低い声で、そう言い放たれた。

≪じゃあ、俺は明日にでも家に戻るよ。せっかくの正月休み、台無しにしてごめん。明日からは、居ないから…≫

『うん…』

≪…じゃあ、良い一年になりますように。あ、これからもね！≫