ぶきようなにんげん２ (ページ11)

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少し俯きながら歩く。私が隠れても意味はないけれど、どうか気づかれませんように。
どんどん縮まる距離に冷や汗をかきながらも、すれ違った瞬間ふわっと頭に手を置かれた。ビックリして手のほうを見ると、私の頭をくしゃくしゃと撫でていたのはウォヌだった。

『…なんでしょう』

「ん？なんか上の空だったから、ヒョンの面白い話を聞き逃すなよ」

『わかってるよ、』

良かった。手を掴まれることも話しかけられることもなかった。
ほっと胸をなでおろす。このまま何もなかったかのように、全てが消えちゃえばいいな、

「あ、ミンギュ！」
なんて思った瞬間、すれ違った女の子がミンギュの名前を呼んだ。
私が呼ばれたわけでもないのに咄嗟に後ろを振り返ってしまった。
振り返った数メートル先にいるのは名前を呼んだ女の子ではなく、私をじっと見つめているミンギュの姿。

目が合う。見つかってしまった。
その場から動けずにいると、再びふわっと頭に手を置かれる。

「知り合いか？」

『ウォヌ…』

「…置いてくぞ」

『ま、待って！』

慌てて２人の後を追う。目が、合ってしまった。
もやもやする。じっと見据えたミンギュあの瞳が、あの日の朝を思い出したように胸が痛くなった。もやもやして、どうにも痛い。

２人こそミンギュのことは知っていたはずなのに何も言わず、私の実家まで送ってくれるみたいだった。まさか、

『…もうばいばいするの？』

「どこか行きたいところでもあるの？」

『いや、ないけど…２人とも暇でしょ？』

「俺はゲームしなくちゃいけないから忙しい」

「僕はこれから実家に帰るよ…Aちゃんもでしょ？」

『私は…、帰らないよ』

「そうなの？」

「何言ってんだ」

『昨日行ったし、家族の顔は見たからもう自分の家でゆっくりするつもり』

「…寂しくない？」

『大丈夫だよ～、やっぱり自分の家のほうが落ち着くみたい！』

「寂しくなったらいつでも連絡してね」

『うん、しちゃう！』

「俺も連絡しちゃお」

『ノーセンキュー！』

「お前に言ってるんじゃない、ヒョンに言ったんだよ」

「はは、ウォヌもいつでも連絡して」

『…じゃ、送ってくれてありがとう！今年もよろしく！良いお正月を！』

「じゃーな暇人」

「またね、Aちゃん」