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出ていった先は、初めてサーカスを見に行った日に"乙"に襲われて…翔太くんに助けられた、あの公園。

広々と開けていて、また土蜘蛛に糸を張られて捕まりにくくはなったと思う。

空は日が傾き始めて、辺りの景色は赤く染っていた。


私は公園のベンチに下ろしてもらって座った。
しばらく様子を伺っていたけど追手は特に来ないようなので、そのまま一旦休ませて貰うことにした。




『彼ら…日が落ちたら"百鬼夜行"がやって来るって、言っていました。』


深「百鬼夜行…それが、あいつらの言っていた襲撃ってやつか。」


渡「でも俺ら、皆さっきまでの戦闘で消耗しまくってんぞ。百鬼夜行止めるとか無理じゃね…?」




翔太くんは眉間に皺を寄せしかめっ面で文句を言っている。確かに皆の姿を見ているとそんな顔をするのもやむを得ない…とは思う。



あ。



でも、さっきからなんとなく感覚が…



違う。



なんの、と言われると具体的にはよく分からないんだけど。




『あ…でも。もしかして…?』


深「ん。どしたー?」


『なんとなく、なんですけど…



康二くんに助けられて、気持ちが安心したなって思った時から…回復が早くなってる、気がします。


さっきは一旦、ホントに空っぽになったような感じで…身体に力も全然入らなかったんですけど。』


深「だって。…舘さん、どーなの?」




深澤さんがそう言うと、皆は一斉に宮舘さんの方を向いた。




『え…なんで宮舘さん…?』


宮「あぁ、言ってなかったね。


俺、人や妖の生命力がどれくらいあるか、測れる"目"があるんだ。」


『ええ…!またなんだかすごい能力ですね…』


宮「ヴァンパイア特有の能力みたいでね。
生命力溢れてる相手を狙って吸血してたみたいなんだ。

それと、対象に視覚のある目があれば、目を見て相手の動きを止めたりとか。

これも吸いやすいようにするための力なんだろうね。」




動きを止める…それはもしかすると、さっきゾンビの動きを止めていた術かもしれない。そう考えると合点がいった。

そして私と目を合わせる宮舘さんの瞳が一瞬赤く光ると…




宮「うん、確かに回復してきてる。

…凄いね。普通の妖や人間の速度じゃない。」




宮舘さんは控えめながら少し目を見開いて、驚いているようだ。

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作者名:fu-ma | 作成日時:2022年5月27日 11時

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