89 土蜘蛛(1) ページ39
『きゃ…っ!』
思わず声を上げるとステージ上に居た9人が私の異常に気づいたのか、暗闇の中からオフマイクで私を呼ぶ声が聞こえる。
向「Aちゃん!?どないしたんや…!」
深「…クソ、舞台上に全員出揃うところを狙われたか…!」
岩「皆さん、落ち着いてください!
ただいまスタッフが機器の点検をして参ります。席を離れず、お待ちください。」
岩本さんは落ち着いて観客への案内をする。
康二くんの問いかけに私も声を出して応えたいけど、どういう訳か口を動かして叫ぶ言葉も最初の僅かな悲鳴のあとは音になって出なくなってしまった。
その瞬間、耳元で誰かが小さな声で私に囁く。
?「ちょっとだけ、黙っててもらうよ〜。」
『…っ…!?』
私が口をパクパクする背後でそう言われた後、誰かに体を抱えあげられるような感触がして、そのまま飛び上がるようなGを感じた。
『ん〜〜…っ!!』
数秒後、動きが止まった気がしたので暗闇で良く目を凝らしてみると、自分が居たのは大ホールの2階席の最後方と思しき場所。
ここにはお客さんもほとんどいなくて、目の前には大柄の外国人のような顔立ちをした若い男性と、明るい髪色で短髪の、パッと見では優しい雰囲気の男性が居た。
そして、私はというと…。
先程拘束されたもののような細い糸で後ろ手に再び身体を巻き上げられ、空中に浮いたままの体制で身動きができなくなってしまった。
『…っん、は…っ!!
あ…!あなた達は…もしかして!?』
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作者名:fu-ma | 作成日時:2022年5月27日 11時