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宮「…大丈夫。

今は"甲"に狙われてるから俺らが守ってるけど、実はAちゃんて元々凄く強い加護の力があると思うよ。

それって人間を護る力だけど、もちろんAちゃん自身も護ってくれる力だと思う。

力のコントロールが出来るようになったら、"乙"くらいは自分で対処できるようになるんじゃないかな。


…きっと、その力がお父さんの想いとか、愛情の証なんだよ。」




そう言われたら、目には見えない自分の力だけど…ほとんど覚えていない父親の存在との繋がりを感じられて、嬉しくなった。


そして、ここまで気遣ってくれるここの皆の優しさにもありがたみを感じるしか無かった。




『…ありがとうございます。

私は、幸せ者ですね。こんなにも気遣ってくれる人が沢山居てくれて。』




私が笑顔を見せたのを安心したように見つめてくれる佐久間くんと宮舘さん。

この温かい温度感に浸っていたいけど、ステージの時間に備えて私も準備することにした。











開演時間が迫ってきた。
私はステージ袖の端の方にスペースを少し頂いて、椅子に座って皆さんを見守ることになった。

袖に9人が円になって集まると、岩本さんが皆さんに声をかける。




岩「皆いいか?

人が沢山集まる公演中に奴らが襲撃してくる可能性も十分にある。

パフォーマンスも勿論集中しなくちゃならないけど、警戒も怠らないようにしよう。

少し大変だけど頼むな。」




それに対し9人が口々に返事をする。皆真剣な面持ちで、遠巻きに見ていた私にも緊張感が伝わってくる。




岩「それと、Aちゃん。こっちおいで。」




岩本さんから円の中に合流するように呼ばれる。私がこの中に入っていいものか少し気が引けたけど、思い切って足を踏み出した。




岩「開演前に円陣ね。
Aちゃんに入って貰えたら、俺たち頑張れるから。」




そう言って手を差し出す。




『はい、今日は陰ながらになりますが…応援してます。よろしくお願いします。』




岩本さんの少し骨ばった手の上に自分の手を重ねる。そして、他の皆の手が上にどんどん重なっていく。


ご迷惑をかけている、と負い目を感じるのはこの襲撃を無事に乗り切ってからにしよう。そう心に決めて、皆で声を出した。

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作者名:fu-ma | 作成日時:2022年5月27日 11時

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