《完結》 Maison de tempete 【ars】 (ページ3)

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開店準備も、閉店準備も、二人で進めて、

新作のケーキを作りたかったりすると、潤さんは残るけど、

基本的には二人とも一緒にお店の戸締りをして、帰ることになってる。

いつも最寄りの駅まで送ってくれるけど、

多分それはたった一人の従業員を大切にしてくれているだけ。

他には何の意味もない。

無事一日も終わって、閉店準備をしていたら、

潤さんに電話がかかってきた。

「もしもし？」

珍しいなー、って思いながら、潤さんをこっそり見つめる。

「え、うんまぁいいけど...」

ちょっとうれしそうなのはなんでだろう、

そしてちょっと私を見たのは、なんでだろう。

「Aごめん、急用ができたから今日だけは最後の戸締り頼むわ」

『分かりました』

珍しいことばかりだな、って思う。

潤さんが前に私より早く帰ったのは、1度だけ。

確かオーナーさんが風邪ひいたとかで、ものすごく心配してた時。

「一応人通りの多い、明るい道選んで帰れよ」

『はーい』

あやしいなーってちょっと思った。

もしかして女の人？

なんて。