《完結》 Maison de tempete 【ars】 (ページ2)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:243,236 hit

・ページ2

「Aー」

『はーい』

大学を卒業して３年、

私は、坂の途中にあるケーキ屋さんで、見習い修行をしていた。

「それ、粉糖かけといて、量はお前に任せる」

『分かりました！』

このケーキ屋さんは、パティシエである潤さんが一人で切り盛りしていて、

潤さんの麗しさと、その繊細なケーキが評判を呼んで、

この街の観光スポットの1つになっていたりする。

『できました』

「ん、上出来」

従業員は私一人。バイトはなし。

なんたって潤さんはモテモテだから。

　「じゅんくーん♡」

うちはカフェスペースは設けていないけど、

なぜかマダムたちがたまっている。
(売り上げには貢献してくれてるけど)

平日は、基本的に、
マダムたちと、学生さんと、あと仕事帰りの人たちが安定したお客様になっていて、

休日は、長蛇の列になりつつある。

「はいはい」

　「きゃー(≧▽≦)来た潤くん♡」

「そりゃ呼ばれたら来ますよ」

笑って、マダムたちを打ちまくって落としまくる潤さん。

ちなみに来る人来る人みんな潤さんを、目を♡にして見てる。

もちろん、このケーキ屋さんが紹介される雑誌には、潤さんのことは載っていないから、

単にケーキの繊細さにひかれてくる人もいるけど、

大体打たれてノックアウトしてる。

うちの店長、多分スナイパーにもなれる。