《完結》 Maison de tempete 【ars】 (ページ6)

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「やっと見つけた！」

突然、ドアが開いて、

現れたのは、潤さんのおうちのオーナーさんで。

「翔さん、遅かったじゃん」

　「遅いも何も、え、俺めっちゃ探したんだけど」

「ちゃんと連絡したんでしょ？」

　「私ラインしましたよ？潤さんのところでケーキを受け取るので、って」

　「だからって...！」

...話が、読めない。

「あ、A。こいつ、翔さんの彼女ね」

ズドーン、って何かが落ちた気がした。

『オーナーさんの、彼女？』

にこ、っと彼女がほほ笑む。

　「Aちゃんごめん、昨日は一人で店じまいさせちゃって」

『え、』

　「この子最近ストーカーにつけられてて、昨日も潤に頼んで迎えに行ってもらったんだよね」

マジかよ、な現実。

仲良く二人が手をつないで帰っていく後姿を見ながら、

ありがとうございました、と頭を下げる。

「今日で７か月なんだってさ」

よくやるよね、って笑ってるけど、

皮肉っぽさは全然ない。

同時に、

潤さんの、彼女じゃないんだって思ったら、

安心して、力が抜けちゃって、

「っちょ、大丈夫かよ」

『すみませ、』

いつもなら、とっくに閉店して、戸締りをしてる時間。

ちょっとイラついたような潤さんの、その態度の理由がわかって、

早く片付けなきゃ、って思ったら、

『っえ、』

なぜか、潤さんの香りに包まれて、

「マジで、おっちょこちょいすぎてほっとけねぇ」

そう、耳元でささやかれた。

『！？？？？』

「お前さ、ほんとに鈍感だよね」

『潤、さん...』

心臓がバクバクしすぎて、吐きそうです。

てか、止まりそうです。

「何、俺じゃダメとかいうわけ？」

『そんな...おこがましいこと言いません...』

「そ？なら今からAは俺の彼女ね」

『！？』

好きだよ、ってささやかれて、

気を失った。