《完結》 Maison de tempete 【ars】 (ページ16)

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大学を出た私は、

ドバイに拠点を置く航空会社に入社して、CAとして各地を飛び回っている。

寮がドバイにあるから、日本には1年に片手で数えられる程度しか帰ってこない。

昨日は、たまたま同窓会が帰国日と重なったから、参加したってわけ。

「あれ、起こしてくんなかったの？」

『別に起こす必要なんてないでしょ』

シャワーを浴びて、着替えて、化粧をして、リビングに戻ると、

二宮が起きてた。

『今日は買い物に行きたいから、したくしたらさっさと帰ってよね』

「ふふ、了解」

風呂借りる―ってシャワーに行った二宮が帰ってくるまで、

ルームサービスを頼んで、

荷物を整理したりして、待つ。

「そういやさ、」

『っ！びっくりした！ちょ！後ろから話しかけないでよ！』

「ごめんて」

『もう...』

心臓が飛び出すかと思った！

なんて、抗議のために後ろを振り返ったら

おっそろしいほどの色気を振りまく二宮。

「ん、何？意識してんの？」

『してないし、さっさと服着てよ』

「素直じゃないなぁ」

一度そらした視線を二宮に戻して、

『あんたこそ！』

って言い返そうとしたら、

触れたのは、二宮の薄い唇で。

「んふ、黙った」

『死ね』

「もう一回スル？」

『しない』

「素直じゃないなぁ」

ふふ、って笑った二宮が、またキスしようとしたから、

今度はほっぺを掴んで対抗してたら、

ルームサービスが来た。

「うま」

『それはよござんした』

「さすが、これも割り引かれんでしょ？」

『そうだけど、なんで二宮が知ってんの』

って言って、そういえばこの人お金が好きだったんだって思い出したから

「そりゃね、なんたって」

『やっぱいいや』

「そ？」

洗練された動作でコーヒーカップを口に運ぶ彼は、

確か大学教授をしていたはず。

昔も賢かったから納得だけどさ。

きっと学生にモッテモテで、楽しい生活をしてるんでしょうね。