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窓からの日差しが暗くなり、日が暮れだした頃、仕事に熱中しすぎてAをほったらかしてしまっていたことに気づいた
「あ!」
声を上げて勢いよく立ち上がってしたいバランスを崩して椅子へ逆戻りして思い切りお尻を打ってしまう始末だ
「うっ…いったぁ…」
おしりをさすりながら次はゆっくり立ち上がると、振動で気づいたのか、Aが走って近くに来た
手には一冊の本を持っている
「ごめん、自分のことしかしてなかった」
手話でごめんの意味の眉間をつまんでから礼をすると彼女は首を横に振って少し離れた場所の椅子を指差したあとに、手にある本を栞を挟んだページを広げて右手の人差し指と中指で文章を上から下へなぞった
恐らく、あそこの椅子に座って本を読んでいたから大丈夫、ということだろう
「なんの本?」
この子はこの沢山の本の中で何に興味を示したのだろうか
栞を丁寧に挟み直して本を閉じると表紙をこっちへ向けてくれた
「あ、それ 俺も読んだことあるよ」
見せてくれたのは、なんてこと無い家族のほのぼのとした短編集が集められたものだった
「俺は 3つめの 話 好きだよ」
目次のページを開き、ゆっくりと伝えると微かにりんこが微笑む
「読み終わったら、どれが好きか 教えてね?」
続けて伝えると、本をぎゅっと抱いて首を縦に振ってくれた
それから少しして隼さんがAを迎えに来た為、また明日と挨拶をして別れた
俺も片付けをして明日から彼女へ教えることをまとめておこう
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年2月5日 23時