世界のバグ【ヒロアカ】 (ページ11)

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10話ページ11

ー緑谷sideー

「…ん、」

「出久…！」

「…っ、Aは！？」

「出久…出久……っ」

涙をボロボロと零すお母さんを支え、辺りを見渡す。

…病院。助かったのか…

でも、Aは？

「失礼します。緑谷出久君…起きたばかりで申し訳ないんだが、聞きたいことがあるんだ」

「そ、その前に…Aは、Aは無事なんですか…！？」

警察官の人が、悲しそうな顔をして首を振る。
…嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ…！！

涙が溢れて止まらなくなる。
警察官の人に背中をさすって貰って、ようやく止まった。

「…多分、自分で頚動脈を切って亡くなった。
敵の、時空と言うやつを殺して」

「罪悪感から、とか…？」

「そうじゃないかと思っている。
時空を殺した場合、Aさんを殺せるのは自分しかいないだろう？」

「…そう、ですね」

いや、もしかしたらそれだけじゃないかもしれない。

人質に取られて、あの場にいた訳じゃなく…ワンフォーオールを奪う為に敵になったのなら。

僕からワンフォーオールを奪おうとしたことへの罪悪感から…なのかもしれない。

それなら、間接的に僕のせいでもあるんだ…

Aに“個性”のことを内緒にして、自分だけがヒーローを目指していた僕のせい。

「緑谷Aさんが敵連合の所にいた理由、分かるかい？」

「…人質のようでした。ナイフを突きつけられていて、それを奪って敵を殺したんだと思います」

「…そうか、ありがとう。
また何かあったら訪ねさせて貰うよ。ゆっくり休んでくれ」

「はい、お気遣いありがとうございます…」

パタンとドアが閉まる。
ゆっくりと息を吐いた。

…これでいい。

死んでからも、Aが敵として記事にされたり報道されたりするのは…嫌だから。

ぽろぽろと零れる涙を拭って、あのことは自分の胸の内に秘めておこうと決意した。

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