1話 ページ2
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『死にたくない』
この言葉を言いながら、私は死んだ。
目を開けた時、私は病院にいた…赤子として。
転生したのだと悟った。
新たな人生をやり直せる。
きっと…死んでしまった私を可哀想に思った神様が、前世の記憶を持たせて、もう一度チャンスをくれたんだって。
…この世界が、私を侮辱するような世界だとは知らずに。
「この子の個性は、【スライム】とでも名付けましょうか…
初めて見る個性です。しかもかなり扱いにくいかと」
「そう、ですね…」
『あう？(個性？)』
この世界は、“個性”というものがある。
“個性”と言えば…弟が読んでいた、ヒロアカという漫画の話じゃないか？
私の【スライム】という個性はかなり扱いにくいようで、生まれた時の私はドロドロだったらしい。
一応形状はあるけど溶けている、みたいな。
面白そう、と思えたのは一瞬だった。
両親の言葉を聞くまでは、思っていたのに。
「無個性じゃなくて…良かった…っ」
「ああ…きっと神様からのプレゼントだ。
これでAは…ヒーローになれるし、虐められることもないだろう」
…ヒーローになれる？虐められる？
訳が分からない。
四歳になり、皆に個性が出現し始めた時。
幼稚園で、ある光景を目の当たりにした。
…“無個性”の子が、強い“個性”を持つ子に、虐められている。
周りの人間は助けようとしなかった。
「無個性だから仕方ない」「無個性なのが悪い」「可哀想に」
…なんだ、この世界は。
私は勉強が好きだった。
天才に勝つのは難しいけど、勉強すればするほど結果になったから。
地頭が良い人にも、努力すれば勝てたから。
なのに…
この世界は、生まれた瞬間から運命が決まっているの？
無個性は、ヒーローにはなれない。
ヒーローこそ全てだ。
学歴なんて、関係ない…
『やっぱり、神様なんて存在しないんだ…』
この世界は、私を侮辱している。
努力で東大に合格した私の、全てを無駄だと言っているようだ。
…“個性”なんていらなかった。
死んだことをなかったことにして欲しい、なんて高望みはしないけど。
…せめて、せめて元の世界に生まれたかった……
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alto(プロフ) - コメント失礼します。この作品素晴らしいですね…！ヒロアカをみて私が何となく思っていたことがこの作品に詰め込まれていて嬉しいです！ (2020年8月10日 20時) (
レス) id: 22bf36de90 (このIDを非表示/違反報告)
ふえいと - 主人公の性格が何処と無くかっちゃんに似てて、あ、これは会ったら喧嘩になりそう……って思ったwww (2019年8月25日 23時) (レス) id: d2d6bf032c (このIDを非表示/違反報告)
沼津 - ギャル紙さんと同じ作者さんなんですね。今作も前作同様最高でした！！ (2019年8月19日 1時) (レス) id: d073c1529e (このIDを非表示/違反報告)
沼津 - ギャル紙さんと同じ作者さんなんですね。今作も前作同様最高でした！！ (2019年8月19日 1時) (レス) id: d073c1529e (このIDを非表示/違反報告)
月明かりと紅色(プロフ) - コメント失礼します……好きです、めっちゃ好きです。すごい面白かったです！読み終わってソッコーでコメントしに来ました、ヒロアカって主人公が1-Aの人とか将来はヒーローだったりするので凄い新鮮でした、素敵な作品をどうもありがとう！(人´∀`*) (2019年6月7日 20時) (レス) id: ce1b07ed69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴里風夢
| 作成日時：2019年3月17日 9時
