59話【移籍理由】 ページ29
・
『…どこまで知ってんの？』
「ほとんど全てだ。当時動元さんに聞いたことも思い出したからな」
『へぇ…忘れてたんだぁ』
ギャル紙さんは、相澤先生を睨みつけたまま挑発的に笑った。
それにしても…事情って何だろ？
「ほとんど全てを知った上で、お前をヒーロー科に移籍した。
お前は…」
『監視対象、でしょ？』
「え…」
不敵な笑みを浮かべて、ギャル紙さんは言った。
監視対象…？なんで？
僕らの気持ちを代弁するかのように、控えめに手を上げて蛙吹さんが口を開いた。
「何故、彼女は監視対象なのかしら？」
『それはね』
相澤先生が喋ろうとしたのを遮って、ギャル紙さんが蛙吹さんのことを見て微笑んだ。
…目が、笑ってない。
『私が、敵になる可能性があるからだよ』
「は？」
僕の前の席に座ったかっちゃんが、僅かに声を漏らした。
…敵になる可能性？そんな…
「…まぁそういうことだ。
事情を知った上で、校長と話してこの結果に…『だったら』」
『だったら、別にC組でもよくない？
雄英の敷地内に、監視内にいるのは変わりないでしょ？』
「…合理性に欠ける」
『違うね。あわよくばヒーローにしたいんでしょ？
敵よりもヒーローの方が素晴らしいって刷り込んで』
口の端を片方上げながら、鼻で笑った。
…ギャル紙さんの喋り方って、そんな風だっけ？
『とにかく、私はC組がいい。
敵になんてならないから安心して』
「だけどな…」
はぁ…と大きな溜息を吐いて、相澤先生を一瞥し、僕達に目を移した。
『悪いけどさあ…』
『ヒーローを夢見る馬鹿な奴らと同じクラスなんて、嫌だから』
え…と誰かが呟く声が聞こえた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2416人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆずな - めちゃくちゃ面白かったです！ (10月26日 12時) (
レス) @page45 id: f39121074c (このIDを非表示/違反報告)
なぎさん(プロフ) - 鈴里風夢さん» 渚です。紹介許可ありがとうございます！他の作品でも頑張ってください！ (9月16日 21時) (レス) id: 3e92d95cce (このIDを非表示/違反報告)
あんじぇ - めちゃくちゃ面白かったです！ (6月28日 14時) (レス) @page36 id: 0cafe389dc (このIDを非表示/違反報告)
鈴里風夢(プロフ) - たくさんのコメントありがとうございます！楽しんでいただけて嬉しいです^^今更の返信になってしまいますが、紹介などOKです、むしろ嬉しいです！後半の方でコメントしてくれた方に個別で返信することができずすみませんでした((*_ _) (6月21日 3時) (レス) id: 355bb71184 (このIDを非表示/違反報告)
渚 - すごく面白かったです！ (2023年5月3日 18時) (レス) id: 95b0e90d6c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴里風夢
| 作成日時：2018年10月13日 12時
