ずっと、君は。1 ページ17
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「…A、ちゃん？」
バッと慌てて振り向く。
…いや、別に今更驚いたりはしないよ。
フリフリの可愛い衣装を着て、物陰から出て来る。
『乃愛…』
「っ、やっぱりAちゃんだ！」
そうだと思ったぁ〜！と笑顔で近寄ってくる。
…乃愛に悪気はないんだよね。自分第一で周りが見えなくなるだけで。
いつから分かってた？と聞いてみると、「最初見た時からなんとなく！！」と返される。
「奏くんがいたもん。それに、昔と変わらず歌声綺麗だったから！」
『…そっ、か』
乃愛は、きっとあの日私に言ったことを忘れている。
あの日ショックだったのは、私より乃愛のはずなんだから。
だから乃愛の中では…私は友達のまま。
「あっ今日ね、麗華先生も来てるんだぁ」
『…うん、いたね』
「絶対にね、麗華先生に「歌が上手くなったね」って褒めて貰うの！それでね…
…自信をつけて、もう一度ヴァイオリンとピアノのレッスンをお願いするんだ」
『！』
いつもニコニコしている乃愛が、真剣な顔をして観客席を見つめた。
…そっか。そうなんだ。
『…凄いな、乃愛は。
私みたいに逃げずに、頑張ろうとしてるんだ』
「えへへ、だって音楽が好きだから！！やっぱり乃愛は、一番の音楽家になりたいから！
…だから、Aちゃんも一緒に…やろうよ」
ぎゅっと、俯きながら私の手を握った。
…あの日と同じ、震えた声。
じっと乃愛を見つめていると、「ごめん、なさい…」と微かに聞こえる。
「ずっと、ずっと謝らなきゃって思ってたけど、顔を見たらもっと酷いこと言っちゃいそうで、謝れなかったの。
…Aちゃんのせいで、音楽が大嫌いになったなんて、嘘だよ。
Aちゃんが嫌いだなんて、一ミリも思ったことないの」
ぽろぽろと涙をこぼしながら、震えた声で呟く。
ライブの為に薄らとした化粧が、涙で崩れていく。
「Aちゃんは、乃愛より何でも上手だった。だから、悔しかったの…ずっと、乃愛は一番だったから。
あの日、初めて一番になれないって言われて、悲しかった…」
『…乃愛』
「ごめんね…っ乃愛、楽しそうに音楽してる時のAちゃんが、一番好きだったのに。
Aちゃんは、大切なお友達だったのに…」
泣き止まない乃愛を、ぎゅっと抱き締める。
…ごめん、ごめんね。
あの日、悲しんでいた乃愛をこうやって抱き締めてあげれば良かったのに。
一番辛いのは乃愛だって分かってて、寄り添ってあげられなかった。
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鈴里風夢(プロフ) - 更新遅くなってしまい、そして返信せずすみません…！ゆっくり更新していくつもりですので、楽しんで貰えたら嬉しいです！ (2020年2月25日 10時) (
レス) id: caebae664e (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 続編楽しみに待ってます！！ (2019年8月6日 1時) (レス) id: 7dea81a844 (このIDを非表示/違反報告)
莉恩 - 思わず一番最初からさかのぼってきてしまいました！勉強お疲れ様です。更新ゆっくりでいいので、待ってます。 (2019年2月9日 15時) (レス) id: e944685ee0 (このIDを非表示/違反報告)
愛香(プロフ) - すんごく面白いです！早く続きが見たいっ…！応援してます！ (2019年1月28日 18時) (レス) id: 02509c761b (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん - そ、その文才と想像力を私に下さい！←更新、待ってます！ (2018年11月3日 12時) (レス) id: 45c54546c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴里風夢
| 作成日時：2018年4月7日 8時
