勝己症候群。17 ページ46
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『…言いたいことが、ある』
「あ？」
ぱっと離れて、勝己の目を見た。
…言わなくてもいいのかもしれない。ただの戯言にしか思えないだろうし。
だけど、これは私なりのけじめ。
きっと、私はいつか
実際、原作が終わったあたりから次第に
それがちょっと嬉しかったのも事実。忘れる度に、私はこの世界に染まっているんだって思った。
でも、このまま消えたら…あまりにも、
心臓が、バクバク大きな音を立てている。深呼吸をして、震える手でウェディングドレスを軽く掴んだ。
勝己は、離れていかないから。きっと、聞き流してくれるから。
『…私……別の世界の、人間なの』
「…は？」
『私は、あの世界で高校二年生だった。だけど交通事故で死んじゃって、気が付いたらこの世界で中学二年生だった』
「おい、何言って…」
『この世界はね、あの世界での漫画の世界で。
いつか、あの世界に戻るかもしれない。
もしかしたら、全部私の妄想なのかもしれない。
実は死んでなくて、眠ってる私が見ている夢なのかもしれない』
ね、こんな女…気持ち悪いでしょ。
そう言うと、ぽろ、と涙がこぼれる。
綺麗に化粧してもらったのに、取れちゃうな。
「…何の話だよ」
『そう、だよね。忘れて』
優しく私の涙を拭いながら、勝己は眉をひそめた。
…言った。言えた。
意味不明だって思われたけど、勝己の中に一瞬でも
それだけでいいの。
ずっと、言えなかった。
口に出したら、本当になりそうで。
夢から醒める、きっかけになりそうで。
目を伏せていると、不意に勝己にキスをされた。
驚いて勝己を見ると、真剣な表情で私を見つめている。
「…前世から大好き、なんだろ」
『っえ、覚えて…！？』
「前世だとかあの世界だとか、漫画の世界だとか…知らねぇし興味もねぇ」
…まぁそうだよね。
こくりと頷く。いきなりそんな話をされてもって感じだよね。
でも、と区切って勝己は言った。
「お前が消えるのは許さねぇし、消えさせねぇよ」
「一生俺のそばにいろって言っただろ」
プロポーズの言葉を思い出す。
真っ赤な顔で、そう言ってくれたんだった。
『…私を一生、離さないで』
「はっ、逃げられると思うなよ？」
そう言うと、勝己はもう一度私にキスをした。
___ありがとう
囁く声が、聞こえた気がした。
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さくらもち - ゆーいさん» そういうコメントを書くのやめた方がいいですよ？不愉快です (2023年2月22日 18時) (
レス) @page28 id: b55b6d22a6 (このIDを非表示/違反報告)
未桜 - 題名にも勝茶って書いてあるし、勝茶嫌なら自衛できるでしょ……。しかも原作とは違うってそれこそ夢小説でしょうが。原作のリスペクトがない行為とまでは言えないし。最終的な夢主の成長も含めて起承転結がしっかりとした面白い作品だと思いました。 (2022年4月1日 14時) (レス) id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - 題名が最初と最後で解釈が違って、オチまで完璧って……。超面白かったです! (2021年5月10日 2時) (レス) id: df990ea0da (このIDを非表示/違反報告)
マイ - 私はこのコメント欄をみて悲しくなりました。 (2020年5月12日 0時) (レス) id: d1e84853e0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーい - お茶子ちゃんの決意やら気持ちやらをガン無視しておいてなにがお茶子ちゃん推しですかって感じ こっちのがお似合いだよ！っつってもお茶子ちゃんからしたら余計なお世話でしかなくて草 (2020年3月5日 21時) (レス) id: 5ba46d626a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴里風夢
| 作成日時：2018年9月15日 21時
