検索窓
今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:25,993 hit

八話【白い髪と和服姿】 ページ8

『おぉ…飛んだ』



殆ど力を入れてないにも関わらず、私よりも大柄な男は軽々と飛んだ。
…天使の力、恐るべし。



「…くそッ!」



拳銃を持った男が、私に狙いを定めた。



「危ない!」



目の前に飛び出した白い髪の男の子が、其の男を押さえつける。
隣に居た和服姿の少女も、もう一人の男を気絶させた。



「だ、大丈夫ですか…?」


『…大丈夫』

『寧ろ、君達は大丈夫?』


「大丈夫です!僕達は武装探偵社の社員ですから!
…あ、あんまり大声で云っちゃ駄目なんですけどね」


『…武装探偵社?』



…あれ、何処かで見聞きしたような……?



「知らないんですか?
異能力者の集まりで、軍警にも手に負えない事を担当するんです!」



…武装探偵社、ね。

まぁ行く事は無いだろう。



「…そろそろ行こう」



和服姿の少女が、白い髪の男の子の袖を引っ張った。



「あ、じゃあ僕達は此れで!
気を付けてくださいね!」



頷いて、手を振り返した。

早く通帳を作らないと。


其れにしても、事件が起きてから元通りになるまでが早すぎる。

真逆、慣れてる…とか?



『…いやいや、そんな物騒な処じゃない筈』



でも、此の近くに武装探偵社が有るという事は…



『…考えないようにしよう』



出来た通帳をポシェットに入れ、代わりにリストを出して歩き出す。

向かうのは、一番リストの期限切れが早い人の処である。



『一人目は山瀬翔…高校生の男の子で、事故に遭って夏の大会に出られなくなる事を避ける
…此れが如何して日本の未来に繋がっているんだろう』



初仕事だから、簡単とか?
…いや、ウリエルがそんな優しい事をする天使には見えなかったけど。


取り敢えず、彼の学校まで歩いて行ってみた。

顔写真と照らし合わせて、校舎内に居る人の中に彼がいるか確認する。



『…いた』



サッカーボールを蹴っている山瀬翔を見つけた。
周りには多くの女の子が居る…人気者なのか。



ぼーっと眺めていると、部活が終わったらしい。
着替えた山瀬翔が校門から出て来たので、後をつけた。

…これ、唯のストーカーじゃない?


そんな疑問を抱きつつ、山瀬翔を見ると、信号の処で立ち止まっていた。

隣に並ぼうと思って近寄ると、急に赤信号の中飛び出した。

…飛び出した?



『な、何やってるんだ…ッ!!?』



山瀬翔の目線の先には、小さな男の子がいたのだ。

私もつられて走り出した。

九話【天使か、それとも】→←七話【銀行】



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (72 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
144人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鈴里風夢 | 作成日時:2018年5月7日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。