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七話【銀行】 ページ7

『…ご馳走様』


「有難う御座いました!」



敬語を無くそう。無礼極まりないが、この見た目だから仕方が無い。
其れに、此の話し方の方が私には馴染みがある…気がする。


喫茶処を出て、地図を見ながら銀行に向かう。
案外近くに在り、歩いて三分程度で着いた。

銀行には結構人が居て、通帳を作るのにも時間がかかりそうだ。其の間、暇を潰そう。

…あ、英字新聞。
そう云えば、私は英語は話せるのだろうか?



『…』



何となく、英字新聞を手に取って読んでみようとする。

目を通すと、紙の上の英語がふわりと浮かんだ。



『!
…英語が、日本語に』



数秒前まで英語だった文章が、日本語になっている。
…此れも天使の力、か。


何でもありだな…天使って。
多分、話す事も容易く出来てしまうんだろう。


ぼんやりとそんな事を考えていると、横から不意に男の腕が伸びてきた。



『…?』



其の腕の男は、ぼさぼさの髪を束ねて、血色の悪い顔をしている。
腕は、私の首に回っていた。



「…金を出せ」


「「「!」」」


「金を出せぇ!!此の餓鬼がどうなってもいいのか!?」


『…は?』



…何言ってんだ此奴。
誰が餓鬼だって…?

見たところによると、犯人達は三人組らしい。
周りの人は震え上がっていて、誰も動こうとはしなかった。



「逆らう奴は異能力で殺すからな!」


『…異能力?』


「あ"?知らねぇのか?
見せてやるよ!」



突然男が腕を刃物に変えた。
…何、此れ。

こんな物騒な異能力?とやらが有るだなんて、聞いてないんだけど。



「や、止めるんだ!」


「あ"!?」



突如、白い髪で前髪が斜めの男の子が声を荒らげた。隣には和服姿の少女も居る。

いいな…私も和服を着て、日本らしさを出したい…



「俺の異能力で、此の餓鬼の首を刎ねてもいいのか…?」



ギリ、と首を強く絞められ、刃物を(手を?)喉に突きつけられた。
首から、一筋の血が流れた。

…痛い。

痛覚神経はちゃんと有るらしい。


白い髪の男の子は私のせいで何も出来ないし、市警が来る事も無い。

つまり…私がどうにかしなきゃいけないって事だ。



『あ、そうだ』


「…なんだ?」



にっこりと笑って見せた。



『力を試すのに、ぴったりだ』



男が理解していない内に、脚を蹴って転ばせる。
流石に其れだけでは転ばず、少し距離を取って走りかかって来る。

だから、刃物じゃない方の腕を思いっ切り掴んで投げ飛ばした。



『…えーい』

八話【白い髪と和服姿】→←六話【甘い】



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作者名:鈴里風夢 | 作成日時:2018年5月7日 18時

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