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十四話【包帯】 ページ14

結構高いビルだったからか、翼のせいで落下速度が遅いからか、中々地面は近付いてこない。



目の前に広がる、綺麗な星空

夜の闇に溶け込んでいく、羽根

唯一聞こえてくる、風の音

伸ばしたまま動かなくなった、左手

そして、
私の頭から離れない、ウリエルの言葉…



『天使、失格』



本当に…その通りだ。

掟を破って、相手が異能力者だと気が付かずに殺されかけている…


徐々に迫って来る地面に、私の躯は叩き付けられるのだろう。

そう考えると、涙が零れそうになった。




ーーーー嫌だ、死にたくないーーーー




死なないと分かっているけれど、怪我は負う。
そして、怪我の治りは早いが、痛みは人間と同じだ。

実際、二日前の救済で負った両脚の怪我は、治りかけてはいるが、痛みはまだ無くなっていない。


目だけを動かして見ると、包帯は僅かに取れかけていた。

…巻き直さなきゃ、という何とも場違いな考えが頭に浮かぶ。

しかし、其れももう仕方が無い。
躯が動かないとなると、何も出来ないのだから…


目を再び星空に向け、目を瞑ろうとした。

だが、しなかった。



視界の端に、白い何かが見えたからだ。

…あれは





…“包帯”……?





自分のでは無い、誰かの包帯


何故、こんな処にあるのだろう…

そんな事を考えていると、不意に何かが私の躯にぶつかった。

十五話【落し物】→←十三話【天使失格】



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作者名:鈴里風夢 | 作成日時:2018年5月7日 18時

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