二話【分からない】 ページ2
『なん…で』
『なんで何も思い出せない…!?』
何一つ、思い出せない。
自分の、
「あっそ、それなら良かった」
『…は』
如何して“良かった”?
この人は何を知っている?
『…自分は誰、此処は何処…!?』
頭を抱えて蹲る。
もう、何が何だか分からない…!
「此処に来ると、皆そう云うんだよなぁ…」
「いいか…お前は
No.1637の
…は?
何を云っているんだ、此奴は。
「あと…見た目は女だから女だ」
『わ、私…、私は死んで天使になった…?
じゃあ生きていた時の記憶は!?』
自分の姿を見ても、何も思い出せない。
此れが、生きていた時の私の姿なのか…?
目の前の天使?は、溜息をつきながら頭を乱暴に搔いた。
「…お前は、勘違いしてんだよ」
『勘違い…?』
「嗚呼、お前の今の姿は前世の姿ですら無い
人間だって、生まれ変わったら見た目が変わるだろ?其れと同じだ
死んだから天使になったんじゃなくて、天使に生まれ変わったんだ
前世の記憶だけ抜き取った状態でな…って云ったら分かるか?」
『…何となく
其れで貴方は?私は何の為に此処に居る?』
「俺は大天使ウリエル
No.1637、お前には天使としての仕事をしてもらう」
天使としての…?
一枚の紙を手渡される。此れは?
「“リスト”だ
このリスト上の人間を救済しろ」
『…救済』
リストには、沢山の人間の名前が書かれている。
それと、期限の様なものも。
「お前の前世は日本人だったからな、日本のある地域限定にしておいた
リスト上の人間
その行動が、日本の未来に関係している」
『はぁ』
全部に目を軽く通すが、誰一人として知らない。
当たり前か。
『…此れ、どうやって救済すれば良い?』
事故から救う、災害を防ぐ等、普通の人間には絶対無理な事ばかり…
「ああ…No.1637、天使の力を使えばいい」
『天使の…力?』
「天使には、天使の力というものがある」
「天使の翼、運動能力や五感の向上、あと未来が見える等…」
『へぇ…』
「乱用は禁止だからな
リスト上の人間の救済以外に使うなよ」
…リスト外の人間の救済は禁止、か。
何だか面倒臭いものに生まれ変わっちゃったな…
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作者名:鈴里風夢 | 作成日時:2018年5月7日 18時