6話 ページ7
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「……なんだ、この茶色い生ゴミは」
「納豆よ、あと食べ物だから。」
「ナットウ…?」
1週間後、ドイツに戻ったAはどこからか帰国の情報を聞きつけたミヒャエルカイザーと向かい合って自宅のテーブルに座っていた。
仕事の合間に寄った実家で、世話焼きの母親に「あんたちゃんと食べてるの!?ほっそいわね相変わらず〜!!」と日本食をスーツケースに大量に詰められた。おかげで空港で少し捕まったのだ。
帰宅後、荷解きをして晩御飯を用意していた所で「クソお邪魔します♡」と入ってきた男にはサッカー選手ってこんなに暇なのか??と首を傾げた。
まあもうすぐ夕飯の時間なので練習がたまたまこの時間に終わったのかな、と適当に自分で解決して「簡単なのでいいから晩御飯食べてく?」と聞く。当たり前だろ?というように機嫌よく鼻を鳴らし、我が物顔でソファにふんぞり返るカイザー。
というか、もはや出てけと言わない自分も随分と絆されたものだと思う。なんとなく、交際期間は短かったが居心地は悪くなかった元彼に似てるのだ。色々。
時は戻り、完全に日本の気分でいたAは生姜焼きとサラダ、味噌汁に白米とよくある日本の晩御飯を用意した。
ちょっかいをかけてくると思ったが、案外おとなしくソファでテレビを見ていた青薔薇は、料理の出来上がった匂いを嗅ぐとすぐに食器やカトラリーの用意をした。なんだかんだ良い男である。絶対に言わないけど。
……で、問題の納豆である。
「腐った豆のどこがいいんだ……」
「チーズだって青カビ生えてるのが美味しかったりするでしょ?」
「それとこれとは違う、おいやめろ近づけるな」
これが白米とよく合うのにな〜、と残念そうにする彼女にウッと息が詰まる皇帝だが、それとこれとは別だ。日本の文化に慣れないとこの先不安だな……と交際すらしていないのに勝手に不安がるカイザー。
少し口に出てたのか、少し考え込んだ彼にAは「馬鹿なこと考えないで早く食べて」と軽く足でカイザーの長い足をつついた。
「…そういえば、飴は全部食べてくれた?」
「あぁそれなら2日で消えた。今度からはもっと寄越せ」
「食べ過ぎ!!!」
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涼竜(プロフ) - 玉子ぷりんさん» ありがとうございます〜。゚(゚´ω`゚)゚。ピィ- (6月7日 1時) (レス) id: 98673a5f76 (このIDを非表示/違反報告)
玉子ぷりん - この小説が好きすぎてヤバイです!(?)更新楽しみです!おうえんしてます! (6月6日 22時) (レス) @page4 id: 07e67c9327 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼竜 | 作成日時:2023年6月2日 17時