36話 ページ38
『──君、ヤンキーだよね？私に何か用？』
『…見舞いに来ただけだ。悪いかよ』
昔の夢を見た。
まだ俺とAさんが小学6年生で、お互い名前も知らなかったあの頃。
グレてた俺は敬語の使い方も女子に対する接し方も不器用でどうしようもなかったが、そんな俺を不思議に見つめながらも面白がるようにクスリと笑う貴女の笑顔が、頭から離れなかったんだ。
『ここの所毎日来てくれてる男の子だよね。ありがとう、なんで来てくれてるかは分からないけど』
『俺の好きにさせろ。…あの時、俺も近くにいたんだ』
『…？あぁ、家事の時に…？』
やっと思い出したかのように手を合わせたAさんは｢そういえば、｣と突然その病院服のシャツを胸下まで上げた
『はｯ！？なにすんだお前────』
『────…ここ、跡が残ったの』
彼女が指さした左脇腹には、くっきりとした火傷の跡。華奢で滑らかな陶器のような肌にそれは忌々しく刻まれていた。
光のないその瞳を一瞬悲しげに揺らしながら彼女はまた口を開いた
『…私こんなんじゃ、お嫁さんにも行けないや。
あの女の子を助けて私の存在証明ができるのならそれでよかったのかもしれないけど。』
『…良くねえだろ。
お前は普通の女なんだから』
意味もなくポツリと言った言葉だったが、その時のAさんにはとても驚いたみたいで珍しくその目を丸く見開いてポカンと俺を見つめた後、ぷふっと笑った
『────あはは！見かけによらず紳士なんだね君。そんな事言ってくれる人初めてだから思わず笑っちゃった。
名前、なんて言うの？』
『…西蔭政也だ』
『ふふ、私は野坂A。よろしくね西蔭』
『…よろしく────』
─────
｢──…ふぅー｣
｢どわ！？…ってAさん！？何故ここに…？｣
｢やっと起きたあ｣
耳に生暖かい風が吹き背筋に電流が走ったかのような変な感覚で飛び起きると、すでに朝の日差しが入った部屋を背景に近くにはAさんが支度を済ませた状態でベッドの枕元を覗き込むかのようにしゃがんでいた
｢もう朝ごはんだよ、西蔭。おはよう｣
｢すみません…今支度します｣
｢いやいや、私がいつも起こされる側だからたまには気分転換にこーゆーのもありだよね｣
まだセットしてない髪を面白がるようにパシャリと手元のスマホで俺を撮った後、｢待ってるよー｣と呑気に手を振ったAさん。
少しため息をつきながらも、俺は洗面所へ入って行った。
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マロン - 夢主ちゃんの声優は絶対マーヤだよ！だって西蔭の中の人は旦那さんじゃんね！ (9月12日 10時) (
レス) @page2 id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
桃(プロフ) - とても面白いです！ゆっくりでいいので、更新頑張って下さい…！ (2019年11月11日 19時) (レス) id: de8697d4c9 (このIDを非表示/違反報告)
いづう(プロフ) - 涼竜さん» よかった！お話のプロットは大体固まっているので、この調子で書き進めてまいります。早ければ今日明日に終わらせられるので、どうぞ見届けてやってくださいm(_ _)m (2019年1月26日 8時) (レス) id: a4beff7793 (このIDを非表示/違反報告)
涼竜(プロフ) - いづうさん» いづうさんからの通知が来た途端真っ先に飛んで行きました笑 本当にありがとうございます！口調やデフォ名大丈夫です、更新楽しみにしていますね！(∩´∀`∩) (2019年1月26日 7時) (レス) id: 8be7a5bcc8 (このIDを非表示/違反報告)
いづう(プロフ) - 失礼します。お待たせいたしました！私の執筆している番外編の方で、以前お話ししたコラボストーリーの1話目を完成させましたので、覗いてくださると嬉しいです！口調なりデフォ名なり、もしご要望等ございましたらご一報くださいm(_ _)m (2019年1月26日 5時) (レス) id: a4beff7793 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼竜 | 作成日時：2018年12月11日 0時
