Happy Birthday、My Princess 1 ページ35
作間 side
「蒼弥、お誕生日おめでとう。」
真っ白な細長い箱に、深緑のリボンがかかっているものを差し出す。
猪「あれ、誕生日、伝えたっけ…?」
「蒼弥が生徒会に入って割と直ぐの時に、優斗先輩から聞かれて答えていたのを覚えていてね。」
猪「そうだったんだ。ありがとう、作ちゃん。」
細い指がリボンをゆっくり解いて、蓋を開ける。
中身はオーダーメイドで作ったペン。
控えめだけど光沢感がある白いボディに、艶はないマットなゴールドの金具、上半分はハーバリウムで白い鈴蘭が入っている。
猪「わあ、すごく可愛い!作ちゃん、ありがとう!」
ふわっと咲いたような笑顔は、可憐な鈴蘭のよう。
鈴蘭について教えてもらってから、蒼弥は鈴蘭のイメージだったから、このデザインにした。
ちょっと可愛すぎる気もしたんだけど、喜んでもらえて良かった。
蒼弥に言った優斗先輩に聞かれていた、っていうのは本当だけど、実は俺が蒼弥の誕生日を知ったタイミングはそこじゃない。
幼い頃、蒼弥が隣に住んでいた時に、両家で一緒に誕生日パーティーをしていた。
誕生日が近いので、一緒にお祝いしよう、というのが始まりだったらしい。
最初は分かっていなかったが、3回目…俺達が6歳になる時のパーティーで、蒼弥の誕生日を正確に知ったのだ。
蒼弥が思い出したとはいえ、過去の話は蒼弥にとっても辛いものがあるだろうから敢えて言わないけど。
10年かかったけれど、やっと、蒼弥の誕生日に、ちゃんとお祝いできる。
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作者名:u | 作成日時:2021年4月3日 23時