鈴蘭は可憐に咲き誇る～第3章～ (ページ13)

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蒼弥は知っていたんだ。

学園内で、可愛い見た目の子や綺麗な子が、何かしらの被害を受けている事件を。

狙われるのは、全員1年だった。

その事件は、体育祭を境に起きるようになり、蒼弥に知られないよう、俺が単独で処理していた。

でも、知られていたのか。

蒼弥は事件を知り、学園の姫を探しているんじゃないか、狙っているんじゃないかと、そう予測していた。

体育祭で生徒会本部のテントにいたのが誰なのか噂になり、収集はつかせたものの、学園の姫を諦めたわけではなかった。

1年はまだ姫について知らなかったから、噂を鎮めるだけで済んだが、上級生はそうもいかなかった。

被害を加えていた者は、全員上級生だったから。

そして、奴等は『黒薔薇』と呼ばれる十数人程の集団で、瑞稀先輩の件とも繋がりがあったことが分かった。

でも、蒼弥が姫だと公表したことで、他の子が被害を受けることはかなり減るはず。

蒼弥はそれを見込んで、自分の存在を公表すると言ったんだ。

蒼弥はいつの間にか、強くなっていた。

それでも、蒼弥を守りたい事に変わりはない。

髙「さて、皆も納得してくれたようだ。瑞稀。」

井「はい。それでは、解任の儀を行います。」

…浮所先輩が何か仕掛けているのではないかと心配していたが、何事も無く進んでいった。

井「ではこれより、選挙に移ります。今回生徒会長候補者が2人です。候補者と応援演説担当者はステージへ進んでください。」

俺の応援演説は優斗先輩自らやると言い、俺と優斗先輩、そして浮所先輩がステージへ出た。

でも、他に来ない。

本来居るはずの、浮所先輩の応援演説担当者が来なかった。

井「…応援演説担当者はステージへお願いします。」

瑞稀先輩がそう言っても、ざわめきが大きくなるだけだった。

…一体、何を考えている？