鈴蘭は可憐に咲き誇る～第3章～ (ページ12)

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髙「先ずは皆に謝罪をする。本部役員についてだが、1人紹介していなかった。入った時期が作間と違い半端になってしまった為に、このタイミングでの発表となった。申し訳ない。」

優斗先輩の声で、静まり返る。

髙「紹介しよう。生徒会本部書記担当、1年A組の猪狩蒼弥だ。そして、猪狩は"学園の姫"でもある。」

そう、このタイミングで蒼弥が本部メンバーと発表する他、"学園の姫"である事も公表すると決めていた。

真っ先に、1年のSとAの生徒から、拍手が上がり、つられるように、1年全体から拍手が起こった。

これが、俺が準備していたことの一つ。

1年生だけで集会を開き、予め蒼弥について今優斗先輩が発表した事を伝えておいた。

"学園の姫"の存在についても、説明済みだ。

道枝に根回しして、長尾くんにも協力してもらった。

1年は全員、俺達を認め、守ってくれている。

それも、風紀までもだ。

髙「"学園の姫"について、2、3年は知ってるだろうから1年向けに説明しようと思っていたのだが、どうやら説明する必要はないな。優秀な奴が居るようだ。」

優斗先輩は俺を一瞬見つめてから、ホール全体を見渡してそう言った。

髙「猪狩についての紹介が今になったのも、猪狩が"学園の姫"である事がもう一つの理由だ。」

"学園の姫"は、色んな奴から狙われる。

俺が最も恐れている事だ。

蒼弥も、本部入りした頃、目立つ事はしたくないと言っていた。

俺達も、学園長も、蒼弥を思って了承していた。

でも、それじゃ駄目なんだって。

それはただの自分の我儘だって、何も変われないって、選挙期間に入った頃、

『自分が学園の姫ならば、守られるだけじゃなくて、学園の為に存在したい。』

蒼弥が、そう言った。