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[炭治郎side]
蝶屋敷の中庭で空を見上げる。
色々なことがあったなぁと、ここ数日間で起きたことを思い浮かべていると、チリンと鈴音が聞こえた。
パッと音がした方向を向けば、
「猫...?」
初めて見る猫だった。
顔立ちやサイズからしてまだ子供なのだろうか??
白に近い淡い栗色の毛並みに、琥珀色の綺麗な瞳だった。
胴体や前足には痛々しく包帯が巻かれていた。
「...ん?」
淡い栗色の毛に、琥珀の瞳。
ふと思い浮かんだ人物に、鼻を動かす。
全く同じとは言わないが、猫特有の香りに混ざってフワリと鼻を掠めた。
「まさか、Aか?!」
そういえば、先日の戦いの時に不自然なことがあったのを思い出す。
まるで猫のような目や、牙を思い出した。
猫は俺の方へと静かに歩み寄ると、身軽にピョンと縁側へと乗り俺の膝の上で丸くなった。
「...あの日、お館様に呼び止められていたから、心配したんだぞ」
そういって、傷があるであろう場所を避けながら撫でれば、ニャァと一鳴きした。
「ありがとうな。俺や禰豆子を庇ってくれて、Aがいなければ、俺はあの場で死んでいたかもしれない」
どう言った経由で彼女が猫になっているのかは分からないが、いつか話してくれるだろうかと少し不安になった。
すると、膝の上にいたAと思わしき猫が、ピクッと耳をたてた。
「炭治郎〜!!!!こんな所にいたのか!!」
パタパタと走ってきた善逸はまだ手足が短い。
すると、善逸は俺の膝の上にいる猫を見ると固まった。
「いやあぁぁぁぁぁあ!!!猫?!猫なの?!Aちゃん猫になっちゃったのおおぉぉぉぉお?!」
そのあまりの大きな声に俺は耳を塞ぐ。
「やっぱり善逸もそう思うか??」
「え、だってAちゃんの音がするなと思ってきたんだよ。絶対にAちゃんだよ、この音は間違えない」
チリン、と鈴の音が聞こえた気がした。
「この鈴音を鳴らすのは、Aちゃんしかいないからね」
『ニャァ』
猫の一鳴きと共にチリン、ともう一度どこからか音がした。
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人形師(プロフ) - 凄く面白いです!無限列車編書いてほしいと思いました。自分のタイミングで良いのでいつか書いてください。 (2020年3月2日 13時) (レス) id: 05191dc1a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおいろ | 作成日時:2020年2月10日 8時