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宮舘side
救急科に駆けつけると、そこには沢山の管に繋がれた男の子。
俺たちが到着したことに気が付いて、救急科の櫻井先生と二宮先生がこちらに向かってきた。
櫻井「外で倒れているところを保護されて、低体温症で運ばれてきた。一命はとりとめた。」
二宮「調べてみないと何とも言えないけど他にも疾患ありそう。喘鳴すごいし。」
櫻井「それと虐待も受けてるっぽい。名前も年齢もわからないから、今相葉くんが児相に連絡とってくれてる。」
二宮「これは長期戦になるだろうってことで小児科の先生方お呼びしました」
ベッドを見れば、酸素マスクを弱々しく曇らす小さくて細い身体。
伸びきった髪の間から見えるやせこけた頬と殴られたような打撲痕。
櫻井先生たちの話によれば、処置の際、通常なら子どもは泣くのに、怯えるように身体を硬直させたまま、一切泣かなかったという。かと思えば、急に叫んでパニックを起こしたり。
身体に打撲痕も見られたことから、虐待を疑わざるを得ない、とのこと。
…言葉がない。
深「え、照？なんで？」
ふっかの驚いたような声に振り向くと、なぜか照が立っていた。
あれ、今日ってたしか照は休みだったような…。
二宮「あ、そうそう。彼が保護してくれたのよ。あと30分遅かったら危なかった。」
櫻井「見つけてくれて本当によかった。で、虐待受けてればこれから心理面の支援も必要になってくるってことで、ここに残ってもらってたんだよ。」
つまり、もし照が見つけなかったらこの子は
満足な治療も受けず、たった一人で冷たい雪の中……
考えるだけでぞっとするし、怒りもわいてくる。
宮「照…ありがとう」
岩「いや、…本当に、助かってよかった」
櫻井・二宮「……」
男の子に繋がれた機械から出る、ピッピッという規則正しい音だけが流れる処置室。
そんな重い空気が流れる部屋に相葉先生が駆け込んできた。
相葉「名前は渡辺翔太くんで、３歳。」
わたなべ、しょうた、くん…
脳内でゆっくりとその名前を繰り返す。
相葉「母親はいなくて、父親はいるけど連絡がとれないことの方が多いって。虐待の可能性があるってことで児相も動き出してた」
二宮「…とりあえずうちで見るってことで。いいよね？」
ふっかと目を合わせて、頷く。
”必ず君を救うからね”
そう覚悟を決めた瞬間だった。
あれから2年。これからもよろしくね。
fin
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作者名：シルク | 作成日時：2023年9月23日 22時
