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阿部side
佐「いや〜なかなか難しいですなあ」
岩「ま、覚悟はしてたけどなぁ」
ナースステーションでは、翔太の専属とさくら組が集まって井戸端会議。
Aちゃんの件があってから、さくら組の二人がそれぞれ翔太の病室に訪れてはいるんだけど…どうしてもドアから部屋の中に進めない状況がずっと続いている。
宮「病室に入ること自体は拒否しないけどさ、話させようとすると無理なんだよね」
目「はい。おはようって言われても、固まっちゃってなかなか返せないんすよね」
人に慣れるとかそういうの関係なしに、Aちゃんも美桜ちゃんもいい人だから翔太も仲良くなってほしいな…って思う。
美桜「でも翔太くんって、一度信用できたら、そのあとは割と早そうですよね」
深「それは言えてる。まあシャイなところもあるけど、なんだかんだ甘えたいんだと思う」
A「…コツコツ今のまま続けるしかないかな。急に進めて、ストレス性の発熱とかさせたらよくないですからね」
宮「うん、それは避けたいよね。さじ加減が難しいなあ」
美桜「とりあえずおはよう以外にも話しかけてみますか？翔太くんは返してくれなくても、聞いてくれればそれでいいので。」
佐「俺らもAちゃんや美桜ちゃんの名前を積極的に出した方がいいね。ほら、俺らが仲良くしてる人なら翔太にとっての信用度ってめちゃめちゃ高まると思うし」
岩「そうだね。次のステップはそれにしよう」
ふと横を見ると、Aちゃんは廊下の向こうにある808号室をじっと見つめていた。
阿「…Aちゃん？」
A「もうすぐ翔太くんのお誕生日ですよね」
そうか。カレンダーを見ると、その日は来週末に迫っていた。
A「私も一緒にお祝いしたいけど、怖がらせちゃうのは不憫だし…。複雑ですね」
美桜「たしかにお祝いにまで辛いこと持ち込むのはかわいそうかも。でも患者さんのお誕生日はお祝いしたかったね」
A「来年のお誕生日は直接お祝いできるのを目標にしよ？」
美桜「だね」
二人の寂しそうに笑いあう横顔に、胸がチクりと痛む。
阿「…照。どうにか負担になりすぎない形で二人もお祝い一緒にできないかな」
岩「うん、みんなで一回考えてみよう」
翔太の件を引き受けてから、さくら組がめちゃくちゃ勉強を積んでいるのも知ってるし、何より二人から翔太への想いを感じる。
少しの時間でもいいから、さくら組と翔太が一緒に誕生日を過ごせるように考えたい。
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作者名：シルク | 作成日時：2023年9月23日 22時
