ぬくもりにつつまれて (ページ34)

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② ページ34

岩本side

岩「あ、そういえばこれ。この前ふっかがクレーンゲームでとったんだって」

翔太「あ！かわいい！」

もう少し質問を続けたいから、ここでさりげなく柴犬のぬいぐるみを翔太の腕に抱かせる。

ぬいぐるみみたいなフワフワしたものを触ると、精神的にリラックスすることが立証されているから、小児相手なら特にこの手法はよく使うんだ。

翔太「わんちゃん。ふっか先生またとったんだ」

岩「ね～、ふっか先生はほんとにゲームが好きだよな」

翔太「んふふ」

岩「じゃあさー、さっきの話に戻るけど、お話したり歌わなくてもいいから、その場にいるのはどう？」

翔太「えー、違う看護師さん？」

岩「うん」

沈黙が流れる。
じいっと考えている様子の翔太はぬいぐるみをいじってる。…たぶん無意識に緊張を和らげている。

翔太「んー、、わかんない。」

岩「わかんないかあ」

翔太「でも、近づかれるとたぶん、どきどきしちゃう、かな」

岩「うんうん、なるほどね」

…ここまで聞ければ今日の目的はかなり達成だ。

というか、こうして違うスタッフのことをパニックにならずに話題にできること自体、かなり成長している証。下手したら俺とのこの会話だけで呼吸が早まったりする可能性もあったから。

やっぱり次の段階に進んでもいいなという確信を得た。

岩「よし、粘土でもする？」

翔太「ん♪ やる！」

岩「今日は何作ろうか～」

翔太「しなもん！」

岩「また～！？(笑)」

あんまり不安をあおってもよくないから全く違う話題に切り替えて、その後は普段通り一緒に遊んだ。