ぬくもりにつつまれて (ページ33)

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距離感① ページ33

岩本side

今日は定期的に行っている翔太のカウンセリングの日。

カウンセリングっていっても子どもだから、カウンセリングルームで遊んでもらいながら、お喋りするだけ。

だから、まだ小さい子はカウンセリングとして認識してこの部屋に来ている子はほぼいないんじゃないかな(笑)

たぶんおしゃべりしたり一緒に遊んだりしてくれるお兄さんって思われてるし、俺もそのポジションを目指して接するようにしている。

翔太なんて呼び捨てで俺のこと呼ぶしね。

今日はのカウンセリングでは普段の観察に加えて、翔太に新しい試みをさりげなく説明しようと思っている。

翔太「ねえ、照～最近しょーたこれが好き」

そういって翔太が指さしたのは、ピアノのおもちゃ。

岩「ん～？あ、ピアノ弾くの？」

翔太「んーん。ここ押すとお歌が出るから、しょーたが歌うの。」

演奏するほうじゃなくて、歌うほうね！
確かに光る鍵盤の上にはボタンがいくつか並んでいて、それを押すと童謡が流れるんだ。

岩「翔太ってお歌好きだよね」

翔太「うんっ」

岩「翔太うまいもんな」

翔太「あのおもちゃ、しょーたのお部屋にもほしいな」

岩「あ、ほしい？ちょっと考えとくわ」

ふっかたちに言ったら速攻で新品買うだろうね(笑)
翔太は個室だし、ずっと入院しているっていうのもあって、音が出るおもちゃも特例で部屋に置けるからさ。

そんな感じで会話をしながら、翔太が普段通りリラックスできていることを確認して。
…そろそろ本題入っても大丈夫そうだね。

岩「翔太はさ、他の人にもお歌聞いてもらいたいなとか思わない？例えばここの病院の人たちとか」

翔太「んー、めめとかこーじならたまに歌うとほめてくれるよ」

岩「そっか。いいね。じゃあ例えば他の看護師さんとかどう？」

翔太「えー、やだ。だってしょーたさ、人と会うの怖いもん」

岩「そっか～そうだよね。ちなみに、他の看護師さんを想像するのは怖い？」

翔太「想像するだけならたぶん大丈夫だけど～、、なんでそんなこと聞くの？」

岩「いや、なんとなく聞いてみたの(笑)」

不安症の患者さんの中には、苦手なものを想像するだけでも恐怖が強く出てしまう人もいるけど、とりあえずその段階はクリアしているってことね。