ぬくもりにつつまれて (ページ31)

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新チーム① ページ31

Aside

翔太くんの件から1週間。
前に入っていた担当の子の検査が長引いたのもあって、急いで岩本先生から指定された小会議室に向かう。

A「すみません、遅れました」

そこには、岩本先生と佐久間主任、深澤先生と宮舘先生。

何だ、このめちゃくちゃ緊張する布陣は。小児科の腕利きが全員揃ってるよ、これ。

そして…
A「え、美桜？」

美桜「うん」

美桜も呼ばれてたのか。
いつも明るく笑っている美桜でさえ、緊張して借りてきた猫になっている。

佐「にゃは、緊張するよね。このメンツ～」

深「絶対原因佐久間っしょ～。看護のことになると厳しいって有名ですからね？2人ともいじめられてない？」

佐「いやいや、この２人優秀だし怒ったことないからね？むしろ指導側に立ってもらいたいよね〜」

深「だってよ？お2人さん！」

宮「もう…騒がしくてごめんね？」

岩「ふっか、さっきから無理して2人に絡もうとしないで(笑)」

…なにこの状況！？

と、美桜に無言で訴えかければ、美桜は苦笑して頷いた。

…たぶん同じこと思ってる。

岩「じゃ、さっそく始めます。」

岩本先生の声で、さっきまでゆるゆるだった先生たちが真面目な表情になった。ピンと空気が張ったのがわかった。

先生たちから説明された方針によると…

専属スタッフのシステムから脱する段階から始める。

まずは私と美桜が中心となって、新しく信頼関係を築き、他のスタッフにも徐々にその輪を広げていく、と。

深「俺ら、かなりの時間割いて話し合った。この方法でいいのか。そして誰が適任なのか。」

佐「Aちゃんと美桜ちゃんなら、きっと翔太をよりよい方向に導いてくれるんじゃないかって思った。だから2人を選んだんだ。」

岩「正直、最初のうちは拒否されたりして、２人が傷つくこともあると思う。…まあ、２人ならわざわざ言わなくてもそんなことわかってると思うけど。」

…わかってる。決して簡単じゃない。
ただ愛想を振りまいて、にこにこして、仲良くなるなんていう甘いものじゃない。

普遍的な専門的知識と、翔太くん個人についての理解。
…この両方がきれいにかみ合って初めて、信頼関係はつくられていくだろう。