雪の降る日�� ページ3
深澤side
今日もまた、朝の回診から一日が始まる。
あ、ちなみに今日のペアは阿部ちゃんね。
深「朝とか関係なしに子どもってパワフルよね」
阿「わかる、それは年々感じる」
なんつー、お年寄りみたいな会話をしながら…
いや、俺も阿部ちゃんもむしろ若い方なんだけど、小児科にいるとそういう感覚になるのよ。
でもさ、本当に病気なの？ってくらい元気な子もいるけど、ここにいる子たちは、みんなそれぞれ病気と確かに闘っていて。
その強さに俺らは助けられてばかりだなって思う。
向「ふっかさん！阿部ちゃん！おはようございます！」
目「おはようございます！」
朝から元気で、やっぱ若けーな。
…あ、また年寄りみたいなこと言っちゃった、わら
向「あ、今からしょったくんですよね？たぶん朝ごはん終わって二度寝タイムかもしらん…」
深「あー、りょーかい」
しょったくん、改め、渡辺翔太。５歳。
まあ色々あって、
……そう、本当に色々あって、翔太は3歳のときからここに入院している。
喘息の持病と、他にも抱えている。
あと、人にも敏感だから、角部屋の個室。
だから必然的に回診は最後になることが多いんだよね。
さ、今日は元気かな。
深「翔太、入るよー」
部屋に入ると、康二が言っていた通り、すやすやと眠る5歳児。
翔太って、本当によく寝るんだよね〜
阿「翔太ー、起きて。ちょっと朝のもしもしさせて？」
翔太「むぅ、、ん、おはよ」
阿「はーい、おはよう」
最初の頃は聴診器でさえもぐずって大変だったけど、今となっては回診くらいならおとなしく協力してくれる。
まあ点滴とか座薬とかになるとだめなんだけどね。
深「よし、おっけ」
翔太「今日さ、照のとこ、あそびに行ってもいい？」
深「そうね、今日は調子よさそうだからいいよ」
翔太「いえーい！」
深「あ、昨日の夜ごはんいつもより食べれたらしいじゃん。舘先生が褒めてた」
阿「おー、偉いね翔太」
翔太「んふふ、しょうた、偉い？」
褒めればきらっきらの笑顔で喜ぶし、嫌なことがあれば怒ったり泣いたりする。
とにかくすっげー素直なんだよね、翔太って。
俺にはないところっつーか。
だからそこはいつも凄いなって思う。
まあ、今でこそ、こうして落ち着いて話せるけれど。
…2年前。
3歳の翔太との初めましては、こんなに穏やかなものではなかった。
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作者名：シルク | 作成日時：2023年9月23日 22時
