君と出会うまえ。 ページ1
Aside
朝の申し送りを経て、午前中は入院している子供たちの診察の補助につく。秋も深まってきたこの時期は予防接種祭り。今日は深澤先生をバディを組んで、どんどんやってくるちびっ子たちを迎える。
深「はーいチクっとするかんね」
「いやあ〜」
深「終わった終わったごめんなあ」
A「はい、シールはろうね〜。」
向井「次入れちゃっていいですか?」
深「あいよ」
「ぎゃあー!!」
深「あ〜もう泣いてるの〜」
A「やだよねぇ、でもこの先生上手だから大丈夫」
深「え?、わら」
そんなこんなで気合で回して、午後は病棟に戻り、受け持ちの子の検査介助。
A「ななちゃん頑張ったねぇ、お部屋一緒に戻ろうね」
なな「うんっ、おててつないで?」
その子の手をひいて病室へ戻る途中の廊下でも
岩本「お疲れ!」
目黒「あ、今日の帰り、わかんないことがあるので質問してもいいですか。」
A「お疲れさまです。質問ね、了解!」
子ども「あっAちゃん!また今度プレイルームであそぼ〜」
A「うん、遊ぼう〜だから早くお風邪治そうね」
子ども「はーい!」
とにかく色んな人に声を掛けられる。
小児科に異動してから、確実に話してる時間が増えた気がする。
阿部「あ、ななちゃんお帰り!Aちゃんもおつかれさま〜」
佐久間「お、ななちゃんいいね〜手つないでるの?」
佐久間さんに抱っこされてるのは翔太くん、5歳。お顔はみえないけど、寝てるかな?
阿部「翔太これから舘先生の診察行ってくるね」
小さい声で阿部さんが教えてくれた。
翔太くんは色々な事情があって、専属の限られたスタッフしか担当していない患児。翔太くんが気を許している先生と看護師たちだけが診察したりコミュニケーションをとったりしてる。
だから彼とお話したことはないけれど…
A「…いってらっしゃい、頑張れ」
小さな声で、眠っているその小さな背中にちゃんと応援を送った。
そんな翔太くんと彼を支える人たちとの濃密な日々が私の未来に待っていたと知るのは、もう少し先のこと。
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作者名:シルク | 作成日時:2023年9月23日 22時