夜の皇帝となれ３ (ページ10)

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「ちっっっがーう！！！」

「っうわ！？」
「すじこ！？」

突如森に響き渡った、東堂のものと思われる叫び声に２人はかなり驚いた。周りに呪霊がいなかったので良かったが、これが交戦中だったら相手に隙を見せていただろう。

「なんやねんマジで……。何がちゃうか分からんし」

「しゃけ……」

「あ、右に２体ね」

「『止まれ』」

「サンキュ」

２人共随分と余裕らしく、雑談をしつつの呪霊狩り(ゲーム)をしている。ターゲットの二級呪霊はまだ見つかっていないらしい。

遠距離の呪霊は主に宵蔵が、近距離の呪霊は主に狗巻が祓うという役割分担ができているため、とても効率がいい。二級呪霊を討伐するのも時間の問題といったところだ。

「おらんねぇ」

「いくら、こんぶ」

「それもそうやね。急ぎつつ気長に探すか～」

「しゃけ」

再び歩きだし、なかなか呪霊に会わないなと思い始めたその時、変わった気配を感じた。何かがこちらに向かって走ってきている。

とても速く、人間の足音ではない。しかし、２人が戦闘体制にはいることはなかった。

「黒やん。配達犬になっとん？かわええな」

「ワフッ！」

「おーよしよしご苦労さん。それは……京都校のメカ丸の腕か？スマホもあるやん」

「ツナマヨ？」

『玉犬』は静かに頷き、メカ丸の腕を使ってスマホを起動する。そして電話帳を開き、『三輪霞』の名をタップした。

「……ああ、電話しろってこと？」

「高菜」

「どーぞ」

宵蔵は狗巻にスマホを手渡すと、何をするのか察しイヤホンを耳にはめた。狗巻がコールを鳴らす。

『はい。役立たず三輪です』

「『眠れ』」

スマホから寝息が聞こえたところですぐ通話を切った。狗巻はメカ丸の腕を投げ捨て唾を吐き、『玉犬』の頭をわしわしと撫でた。

「『戻れ』」

「さすが棘や……な……！？」

瞬間、異様なまでに強い呪力を感じた。とっさに振り返ると＿＿＿＿。