hope (ページ17)

今日:8 hit、昨日:5 hit、合計:1,513 hit

Seize ページ17

夏油は生死の境をさ迷っていた。

思い浮かぶのは、愛しい彼女の顔。

「無事に帰ってきてくださいね」

ああ、私は彼女の願いを叶えられなかったのか。

体が痛かった。

意識も朦朧としていた。

「……ご…め、んよ…………」

「____!」

「____、______」

話し声が聞こえた。

悲痛な声と、落ち着いた声。

そうだった、私に死んでいる暇などないじゃないか。

"呪術も使えない猿"に負けたなんて許せない。

それに彼女が＿＿彼女が待っているんだ。

「……っは、」

周り一帯が白い。

医務室で寝かされていたようだ。

「起きたか、夏油」

「夏油さん、大丈夫ですか!?此所が何処か分かりますか!?」

夏油の顔を覗く灰原と、腕を組んで立っている家入。

そこにAはいなかった。

わかっていた。彼女が来られないことくらい。

だから走り出した。五条たちの安否はもちろん、彼女の様子を確認したかったから。