夜の皇帝となれ ２

反省 ページ42

「なっ、なんで皆手ぶらなのー！？」


長く辛い特訓の日々を経て、ついに姉妹校交流会 当日がやってきたわけだが……。


手ぶらの５人に対し、釘崎はキャリーケース&バックという、今から旅行に行くかのような荷物量で現れた。


「オマエこそなんだその荷物は」


「何って…これから京都でしょ？」


「｢｢｢｢？｣｣｣｣」


話がまるで噛み合っていない。勘違いが起こっているようだ。


「京都"で"姉妹校交流会…」


「京都"の"姉妹校"と"交流会だ。東京で」


「うそでしょ〜〜〜！！？」


パンダがすかさず入れた修正に釘崎は嘆いた。楽しみにしていた京都に行けない上に、せっかくの用意が水の泡なのだから仕方ない。


「京都に行きたかったんはわかるけどなぁ……」


「どうりで最近会話が噛み合わないわけだ」


「ですね」


「去年勝った方の学校でやんだよ」


「勝ってんじゃねーよ！！！バカ！！」


「俺らは去年出てねーよ。去年は人数合わせで憂太が参加したんだ」


「『理香』の解呪前だったからな。圧勝だったらしいぞ。京都でやったから見てねーけど」


乙骨憂太。当時は特級過呪怨霊『理香』に呪われ、元一般人(パンピー)ながら特級呪術師として名を馳せた２年生だ。


解呪前だったのなら、『理香』が出てきてしまい即終了ということがあってもおかしくはない。彼は敵にとっても味方にとっても、それはそれは大きな爆弾だった。


「許さんぞ乙骨憂太ー！！会ったことねーけどよぉ！！」


「まあまあ……京都は今度な？」


「ビザ汚れるぞ」


片膝を立て山彦かのように釘崎は叫んだ。その近くから聞こえる、複数の足音。


「おい。来たぜ」

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