夜の皇帝となれ １

＊ ページ43

ガココン、と自販機から出てきた缶ジュースを釘崎が取り出した。ここは高専唯一の自販機エリアで、申し訳程度に自販機が並んでいる。


「自販機エリアとか名前だけやね」


「自販機もうちょい増やしてくんないかしら」


「無理だろ、入れる業者も限られてるしな」


＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


「あり？１年ズは？」


「パシった」


１年生３人がいないことを不思議に思い、パンダが問いかけたが答えはパシり。真希らしいが、パンダには心配する理由があった。


「大丈夫か？」


「３歳児じゃねーんだ、お遣いくらいできんだろ」


「いやそうじゃなくて。今日だろ、京都校の学長が来んの。交流会の打ち合わせ」


「！」


そう、京都校の学長が来る日。ただそれだけなら別に構わないが、問題は別にある。


「特級案件に帝夜を除く１年派遣の異常事態、悟とバチバチの上層部が仕組んだって話じゃん。京都の学長なんてモロその上層部だろ、鉢合わせでもしたらさァ」


「標的(ターゲット)だった１年…虎杖は死んでんだ。恵達を今更どうこうするつもりもねぇだろ。京都のジジィだって表立って騒ぎは起こさねぇって」


「教員は立場があるけど、生徒はそうでもないよな」


そして思い浮かぶ、真希の実の妹の顔。自然と目が細められる。


「……来てるって言うのか、真依が」


「憶測だよ。打ち合わせに生徒は関係ないからな。でもなァ、アイツら嫌がらせ大好きじゃん」

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す