夜の皇帝となれ １

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「…ん？っていうか、そんな暇あんの？人手不足なんでしょ？呪術師は」


疑問に思った釘崎に、パンダが「い〜い質問ですね」と答えた。


「今はな。冬の終わりから春までの人間の陰気が、初夏にドカッと呪いとなって現れる。繁忙期って奴だ」


繁忙期。主な原因は１２月から２月にかけての"冬季憂鬱"、３月の"自律神経の乱れ"、４月の"環境の変化"、"五月病"の四つ子だ。


これらによる多くの負の感情は、呪霊となり非呪術師にも襲いかかる。そりゃ繁忙期にもなるだろう。


「年中忙しいって時もあるが、ボチボチ落ち着いてくると思うぜ」


「へぇ〜」


「せやから忙しかったんやなぁ……」


「で、やるだろ？仲間が死んだんだもんな」


真希が挑発的に言うと、１年生３人はゆらりと立ち上がり、２年生を見据えた。


「｢｢やる｣｣」


(私は)
(俺は)
(ウチは)


(((強くなるんだ。そのためならなんだって)))


「でもしごきも交流会も、意味ないと思ったら即やめるから」


「右に同じ」


「同じく」


「ハッ」


「まぁ、こん位生意気な方がやり甲斐あるわな」


「おかか」


それに応えるように、２年生は不敵に笑った。


＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


「つまり君達のボスは、今の人間と呪いの立場を逆転させたいと。そういうわけだね？」


コストのテーブル席のソファ側に座った夏油は、その向かいの椅子に座った漏瑚に問いかけた。漏瑚は右手の爪で机を叩く。


「少し違う。人間は嘘でできている。表に出る正の感情や行動には必ず裏がある。だが負の感情、憎悪や殺意などは偽りのない真実だ。

そこから生まれ落ちた我々呪いこそ、真に純粋な"本物の""人間"なのだ。偽物は消えて然るべき」


「…現状、消されるのは君達だ」


「だから貴様に聞いているのだ。我々はどうすれば呪術師に勝てる？」


「戦争の前に、２つ条件を満たせば勝てるよ。五条悟を戦闘不能にし、両面宿儺 虎杖悠仁を仲間に引き込む」


「死んだのであろう？虎杖というガキは」


「さぁ、どうかな」


夏油は含み笑いを溢した。

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