夜の皇帝となれ １

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人通りの比較的少ない道まで移動した。目立つ集団であることが理由の１つである。


「そんじゃ改めて」


「釘崎野薔薇。喜べ男子、美人よ」


茶髪ミディアムの方が真顔でそう言った。愛想もクソもなく、伏黒がウザ…、と思ってしまった。


「ウチは宵蔵帝夜。よろしゅうな」


関西特有の訛りで紺髪二つ結びの方が言った。こちらも言うほど愛想は無い。


ちなみに移動した理由の大半は、宵蔵の愛車たる黒のクラウンがこの辺りのコンビニに停めてあるからである。コンビニ似合わないな。


「俺、虎杖悠仁。仙台から」


「伏黒恵」


２人も名乗る。釘崎はじとーっと男２人を品定めしたが、どちらも良い印象は無いようだ。


(見るからにイモ臭い…。絶対幼少(ガキ)の頃ハナクソ食ってたタイプね)


(名前だけって…、私偉そうな男って無理。きっと重油まみれのカモメに火をつけたりするんだわ)


宵蔵は自分と大差ない男２人の身長を見つめていた。そして五条を見る。高い。首が痛くなりそうだ。


(背ぇ高……。目隠しの下絶対イケメンやろ、二次元あるある的な話すると、やけど)


「はーあ、私ってつくづく環境に恵まれないのね」


「人の顔見てため息ついてる」


そんなあからさまに嫌がらなくても……。というか、このままでは埒があかない。話題転換のため、伏黒が五条に問いかけた。


「これからどっか行くんですか？」


「フッフッフッ、せっかく一年が４人そろったんだ。しかもその内２人はおのぼりさんときてる。行くでしょ、東京観光」


それにパアァと目を輝かせた者２名、えﾞ、と言った者２名。それぞれ虎杖と釘崎、伏黒と宵蔵。目を輝かせた組は五条に飛び付く。


「TDL(ディズニーランド)TDL行きたい！！」


「バッカTDLは千葉だろ！！中華街にしよ先生！！」


「中華街だって横浜だろ！！」


「横浜は東京だろ！！」


初対面とは思えないほど口喧嘩がヒートアップしていく。TDLは千葉、中華街は横浜だ。東京観光とは。取り残された伏黒と宵蔵は困惑の表情を浮かべっぱなしである。


「それでは行き先を発表します」


五条の一言でようやく口喧嘩が止まった。虎杖と釘崎は綺麗に跪き、次の言葉を待つ。


「六本木」


((六本木？))


目を輝かせた２人を横目に、宵蔵はため息をつきながらコンビニへ向かった。クラウン取りに行かないと。

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