夜の皇帝となれ １

休日徊銓 ページ19

ゲームセンターの１階のUFOキャッチャーコーナーまで降りてきて、自販機でコーラを買った虎杖と伏黒は、どことなく虚無感に包まれていた。


ここに至るまでの流れを軽く説明しよう。釘崎が「アメ横を見たい」と言い出したが、虎杖は乗り気ではなかった。アキバに行きたいとのことで、監視役として伏黒もついていったのだ。


そして会話のドッジボールをしながら歩き、虎杖が向かった先は『格闘企業戦士ビジネスファイター』といういかにも面白くないゲーム。なぜかそれをガチ勝負し今に至る。


「あー、俺なんであんなクソゲーに1000円も使ったんだろ……」


項垂れる虎杖に、伏黒は心底アホを見る目を向けた。


「いい加減満足したら出るぞ。ゲーセンは暇は潰せるけど金も食う」


「確かになぁー……あ！」


「なんだよ。またクソみたいなゲーム見つけたからって、もう付き合わねぇからな」


「いやそうじゃねぇーよ、伏黒あれ、あれ！」


虎杖の指す方へ、伏黒は渋々と細めた目を向ける。そして、ぎょっと目を見開いた。


「……五条先生と……宵蔵さん？」


「だよな、アレ」


まさしく、２人の視線の先に居るのは五条悟と宵蔵帝夜、その人だった。


というか、黒ずくめの格好に黒い目隠しまでして薄暗いゲーセンを歩いている人間が、五条以外にいるとは考えにくい。


しかも、それに付き添う黒い制服に大きなバックパックを背負った人間が、宵蔵以外にいるとは考えにくいのだ。

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す