夜の皇帝となれ １

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「ちょっといいですかー」


紺色の二つ結びをした女に話しかけたのは、如何にも胡散臭そうな七三分けの中年男。二つ結びの女は興味無さそうにそちらを見る。


「自分こういう者ですけど、お姉さんモデルの仕事とか興味無い？」


「無いですけど？ウチ急いでんねん」


「話だけでもぉ〜」


こういう男は面倒くさい。女が本気で睨みを効かせようとしたとき、茶髪ミディアムの女が男の肩を掴んだ。どこか迫力を感じる佇まいで。


「ちょっとアンタ。私は？」


(ワタシハ！？？)


「モデルよモデル。私はどうだって聞いてんの」


「いや…あの、今急いでるんで」


「急いどるならスカウトすんな」


「ほんっとそれ。コラ逃げんなや、はっきり言えや」


女とは怖い生き物だ。それを中年男が実感しているのを哀れに思いつつ、同級生の女２人を見る。あの２人が、今日から同級生になるのだ。


不安しかない。


「俺達、今からアレに話しかけんの？ちょっと恥ずかしいなぁ」


「オメェもだよ」


イラッとしながら伏黒が言う。無理はない。


虎杖の今の格好を紹介しよう。２０１８サングラス、ポッキー＆生クリームのクレープ、ポップコーン。まあ無理はない。


「おーいコッチコッチ」


五条の呼び掛けで、女２人はようやく同級生の存在に気づく。人がゴミのような程いる原宿でも、190cmの黒目隠しは目立つのだろう。


「アンタ同級だったの！？」


「今更タウンやん…」


中年男はこの間に何処かへ逃げ去ったようだ。こうして１年生４人＋担任は合流できたのである。

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