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「よっ、戻ってきたか」
「もう大丈夫ッスか?」
「三ツ谷が必死こいて走ってくからマジでビビったわ」
「それは言わない約束だろ」
「あっ」
「まあまあ……。だいぶ長い休憩にはなったけどね」
「ねーねー、もっかいさー、たい焼き買ってきていいー?」
「さっき食ったばっかりだろ馬鹿」
場地の頭を軽く小突き、相変わらずのマイキーに苦笑いを溢す。さっきまで人の少ない境内の奥の方にいたからか、ここに戻ってくるといつもより賑やかなように感じた。実際普段より賑やかではあるが。
花火が打ち上がるまでの時間は、女子陣の要望中心に屋台をまわるという形で潰した。もう完売した屋台もいくつかあって、祭りが賑わっていることを感じさせる。
やはり2度目の射的でもAは無双し、あげくの果てには他の屋台で貰った景品で手が塞がりかけていたのは見ていて可愛かった。きっとそれは待ち時間を有意義に使えた何よりの証拠。
そして空が真っ黒になった頃、そのときが来た。
夜空を火のラインが這い、一度消えて大輪の花を咲かせた。それに続いて、色も形も千差万別の花々が次々と夜空に咲き乱れる。雨が降り、抗争と被ってしまった去年では見られなかった景色だ。
「綺麗……」
「あれ!形すごいよ!」
「すっげぇ……!」
「アレって降ってくんの?」
「ここまでは降ってこないだろ」
各々が口々に感想を言う。三ツ谷は特に感想を言うこともなく、ただその豪華絢爛な様に見惚れていた。こうして何も気にせず、皆で美しい景色を眺められる機会はそうそう有りはしないから。
ずっとこうだったら良いのに、なんて。
「来年もまたこの面子で来たいな」
「"来たい"じゃない。"来る"んだよ。これ総長命令な!仲間外れはブッ飛ばすから!」
「そういうマイキーが来なかったりしてな」
「んなことしねーよ。……たぶん」
「そこは自信持てヨ」
思わず皆で吹き出してしまった。彼なら案外あり得ない話ではないし、それに自信を持たないところがツボに入ってしまったのだ。花火が咲き誇る夜空の下、子供らしい笑い声が響き渡った。
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匿名希望:我妻さん(プロフ) - runaさん» ありがとうございます! (2021年8月26日 13時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
runa - お忙しい中三ツ谷君視点も書いていただきありがとうございます。とっても美味しいです(???) (2021年8月26日 11時) (レス) id: 318f1a5b3c (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 宿題がっ…………済まない………だと……?数日間更新しないかもしれません (2021年8月23日 19時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - インパルスって描くの大変すぎません?難しいんですけど…… (2021年8月11日 17時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 彼が語る、幸せな世界線の物語。 (2021年8月8日 2時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名希望:我妻さん x他1人 | 作成日時:2021年8月8日 1時