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浴衣が少しずつ乱れていくが、それでも気になりゃしなくて ただAの向かった先へ先へと走っていく。境内の奥の方は人が少ない代わりに木々ばかりで走りにくい。早く見つけてやりたいのに。
いくら鍛えていると言っても、これだけ長い距離を走り続ければ息もきれてしまうわけで。ハァ、ハァと荒くなった呼吸を一旦整えて辺りを見回す。
見渡す限りの木、木、人。見通しが悪すぎる。確かに休憩にはうってつけだが人探しには最悪だ。一般客とは違う一風変わった装いをしているぶんまだ見つけやすい方なのだろうけど。
「マジでっ…………どこいんだよ……!」
「ヒッ!!?」
「あ゙?」
近くから聞こえた高校生らしき男の声についガンを飛ばしてしまった。ヤベッと思ったがどうやら当りらしい。その男の斜め後ろに別の男と…………彼女がいた。Aはその別の男に抱き締められていた。
しかも相手は下心の塊のようで、抱きつくAを恍惚とした目で見ている。酷すぎる光景に自分の中の何かがショートした。
「おい、」
自分でも驚くほどの低音が出て、彼女はビクッと肩を震わせた。それでも落ち着いてやれず衝動任せに男を蹴り飛ばす。軽く2mは飛んだであろう男にかけてやる情けなどありもせず、彼女に何をする気だったのだと怒りだけが募った。
周りがザワつく。巻き込まれたく無いのだろう、もともと少なかった一般客たちがその場を離れていく。男は男で震えながら起き上がり、後ずさった。
「ひっ……三、三ツ谷隆…………」
「フルネームで呼ぶなよ 何様だよ。弱ってる女たぶらかして楽しいか?マイキーがいないなら大丈夫とか思ったか?……んなわけねーだろ。わかったらとっとと失せろ」
東京卍會弐番隊隊長の肩書きを持つ三ツ谷に本気でガンを飛ばされたただの高校生が無事で済むわけもない。その友人共々さっさと退場していき、辺りを沈黙が包んだ。
Aは俯いたまま動かない。否、動けないのだろう。彼女の前にも関わらず怖がらせてしまったことが申し訳なくなって、1歩1歩ゆっくりと彼女に近づいていく。
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匿名希望:我妻さん(プロフ) - runaさん» ありがとうございます! (2021年8月26日 13時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
runa - お忙しい中三ツ谷君視点も書いていただきありがとうございます。とっても美味しいです(???) (2021年8月26日 11時) (レス) id: 318f1a5b3c (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 宿題がっ…………済まない………だと……?数日間更新しないかもしれません (2021年8月23日 19時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - インパルスって描くの大変すぎません?難しいんですけど…… (2021年8月11日 17時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 彼が語る、幸せな世界線の物語。 (2021年8月8日 2時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名希望:我妻さん x他1人 | 作成日時:2021年8月8日 1時