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「……説明してくれ」
メヘンディアートと言われたってよくわからない。逆に頭がこんがらがってくるほどだ。彼女の言い分からして、少なくとも刺青ではないということは想像がつく。逆を言えばそれしかわからない。
やっぱり知らないか、とAが項垂れた。そしてもう一度時計を確認し、サッと袖を下ろす。
「インドのファッションアートでさ、塗料で体にペイントするの。しばらくしたら色素が定着するから塗料を落として完成……みたいな?1週間は落ちない代物だよ」
「つまり?」
「先生に許可もらったうえで描いただけです」
「……本気で焦ったんだけど……。つか巧いな、それ」
これは彼女が自分の手で描いたものだ。そのわりには結構巧くいっているので鼻が高い。手先の器用さで言えば彼の方が上だが、こういうことは美術部である彼女だからこそできるものだろう。
蝶は生き生きと舞っているし、花も美しく咲き誇っている。花同士を繋ぐ蔓ですら、リボンのように上品だ。……そういえば美術部かこの人。
「初描きだから簡単なの描いただけだよ。凝ったもの描かなかったからそう見えるだけだと思うで」
「それにしても凄いだろ。だいぶ意外だったけど……可愛くて良いんじゃないか?」
「そ?ありがとね」
Aは本日初めて見るような満面の笑みを浮かべた。そんな彼女の姿に、三ツ谷の口からも笑みが溢れてくる。先程まで互いに気まずかった生徒会室は嘘のように明るくなった。
ただのクラスメイト、良くも悪くもそれだけの関係でしかなかったが今はもう違う気がする。楽しい。何故か守ってやりたくなる。彼女はクラスで3番目に可愛いタイプというのは頷けることのようだ。
(マイキー達にも会わせてみてぇな)
「そうだ。またいつか機会があったらだけど……やろっか?こういうの好きやろ」
「好きじゃなかったら入れねぇよ。まぁ、また今度やってほしかったら頼むな」
「りょーかい」
話が一段落したところで、2人は嫌な予感を感じ時計を見た。授業開始まであと1分。慌てた2人が教室に駆け込んだのは言うまでもない。
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匿名希望:我妻さん(プロフ) - runaさん» ありがとうございます! (2021年8月26日 13時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
runa - お忙しい中三ツ谷君視点も書いていただきありがとうございます。とっても美味しいです(???) (2021年8月26日 11時) (レス) id: 318f1a5b3c (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 宿題がっ…………済まない………だと……?数日間更新しないかもしれません (2021年8月23日 19時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - インパルスって描くの大変すぎません?難しいんですけど…… (2021年8月11日 17時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 彼が語る、幸せな世界線の物語。 (2021年8月8日 2時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名希望:我妻さん x他1人 | 作成日時:2021年8月8日 1時