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その後は皆で出店をまわり、幹部達と会ったら同行させるというのを繰り返した。吊り下げられた提灯が灯り、夜の訪れを知らせる。だいぶエンジョイできただろう。
こうして東卍メンバーが集まるとどうもむさ苦しいのだが、そこに数人含まれた女子陣のおかげで今年はそうでもない。恐れられてばかりの仲間達だが、こうして祭りを楽しむ姿は年相応のものだ。
一般客が増え、混んできたから余計にそう思えるのだろうか__と思っていたら、自身の浴衣の袖がキュッと掴まれた。そちらを見やるとAが俯きがちに袖を掴んでいる。きっとこの人混みに慣れていないのだろう。
「大丈夫か?」
「ちょっと休憩したい……」
「……あそこ、あんまり人いなかったよ。行ってきたら?」
アングリーが境内の奥の方を指差しながら言った。確かにあそこなら休めそうだ。ごめん、と彼女は自分達にぎこちない笑みをうかべ、袖から手を離す。そして人混みを避けるようにして奥の方へと歩きだした。
__自分では、頼りなかっただろうか。さっきのAは前弱っていたときと同じ様子だった。東卍メンバーがそろっているからかもしれないけれど、さっきのまま自分にすがってくれれば良かったのに。彼女はそうしなかった。
「……タカちゃん」
「あ?ンだよ八戒」
「良いの?あの人1人にした方が危なそうじゃん」
「そーそー。A結構参ってるみたいだったし、アタシ達と同じくらい可愛いし?盗られるときは一瞬でしょ」
「つまり追っかけろって言いてぇの?……確かにそうしてぇけどさ、それってオレじゃなくても良くね?」
「はぁ!??」
刹那、すごい剣幕で柚葉に肩を掴まれた。その目は怒っているのか焦っているのかよくわからないもので、自分の発言がそれだけ癪に触るものだったことが伺える。
「馬っ鹿じゃねぇの!?オマエ何変なところで不器用になってんだよ!!Aに惚れてンだろ!?ならオマエじゃなきゃ嫌だの一言くらい言わせてみろよ!!」
「っおい 声がデケェ!」
「うっせぇな!!わかったらとっとと行ってこいや馬鹿三ツ谷が!!」
柚葉はそう吐き捨てると、掴んでいた肩を離して踵を返した。東卍メンバー達が唖然としているなか、三ツ谷は気づけば人混みを押し退けながら走り出していた。ただ柚葉の言葉だけが耳に強く残っていた。
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匿名希望:我妻さん(プロフ) - runaさん» ありがとうございます! (2021年8月26日 13時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
runa - お忙しい中三ツ谷君視点も書いていただきありがとうございます。とっても美味しいです(???) (2021年8月26日 11時) (レス) id: 318f1a5b3c (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 宿題がっ…………済まない………だと……?数日間更新しないかもしれません (2021年8月23日 19時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - インパルスって描くの大変すぎません?難しいんですけど…… (2021年8月11日 17時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 彼が語る、幸せな世界線の物語。 (2021年8月8日 2時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名希望:我妻さん x他1人 | 作成日時:2021年8月8日 1時