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夏休み ページ27

今、クラスメイト……いや、渋谷第二中全校生徒が歓喜と解放感に包まれていた。何を隠そう、期末テストが終わったのだ。梅雨も開け、文化祭の製作にどたばたすることもなくなり、そして何より1学期が終了した。


つまり__夏休みだ!!


終業式に延々と聞かされる、先生の長い話は退屈なものだ。しかしそんなもの右から左に流しておけば気にもならない。唯一の苦しみと言えば宿題と通知表くらいのものだろう。


そういうわけで終業式が終わり、夏休みの予定を話しながら生徒達が帰っていく。皆足取り軽やかでテンションも高く、梅雨の間の面影が感じられない。良いことだ。


「三ツ谷君は夏休み中なんかある?」


「今のところは特にないけど……。マイキーがいつ予定を入れるかわかんねぇから身構えてるところだな」


「予定表は佐野君の脳ミソってことか」


「話が早くて助かるよ」


三ツ谷の予定表がマイキーの脳ミソなのだから、彼に気に入られているAの予定表もきっとそれだ。確実に彼女も誘われるだろう。


いつも通り靴を履き替え、いつも通り靴箱を出る。1つだけいつも通りではないことを上げるとしたら、駐車スペースに三ツ谷のインパルスが停めてあることぐらいだ。


「あれ、今日バイク?そういえば最近はずっと歩きだったね」


「何しろ集会もなかったし、一さんを送っていきたかったからな。けどこの前言ってたろ、バイク乗りてぇって」


カッコいいし乗ってみたい、とつい最近がAボソッと言っていたはずだ。さすがに彼女1人で乗せるのは無理だが、自分同伴なら何も問題はない。


ヘルメットを渡し、座席に乗せてやると彼女は分かりやすくテンションを上げた。そのまま自分も乗るが、後ろで彼女が両手をさ迷わせている。行き場に困っているのだろう。三ツ谷はAの手を捕まえ、自身の腰に添えた。


「ほら、ちゃんと捕まっとけよ。下手したら振り落とされるからな」


「え」


まあそんなことは自分がさせない。いつも以上に安全運転で彼女を家まで送ってやった。

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匿名希望:我妻さん(プロフ) - runaさん» ありがとうございます! (2021年8月26日 13時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
runa - お忙しい中三ツ谷君視点も書いていただきありがとうございます。とっても美味しいです(???) (2021年8月26日 11時) (レス) id: 318f1a5b3c (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 宿題がっ…………済まない………だと……?数日間更新しないかもしれません (2021年8月23日 19時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - インパルスって描くの大変すぎません?難しいんですけど…… (2021年8月11日 17時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 彼が語る、幸せな世界線の物語。 (2021年8月8日 2時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:匿名希望:我妻さん x他1人 | 作成日時:2021年8月8日 1時

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