＊ ページ26
ザァザァと降り続く雨の中、２人は歩き始めた。今日もまたAを送って帰る。ただの自己満足だが彼女が嬉しそうで良かった。
「ありがとな」
「何が？」
「ウチの部員の製作。手伝ってくれただろ」
彼女のちょっとした手伝いでも、作業が滞ってピリピリとしていた手芸部にとっては救いの一手だ。三ツ谷にとっても彼女の存在は大きく、見るだけで息抜きになった。
好き、なんて。自覚してしまえば何もかもそれで説明がつく程便利な言葉だ。Aが可愛くて仕方ないのも、尽くしたいと思うのも、全部好きだから。この感情は本当に単純で厄介なものだなと何となく思った。
「手伝うことそんなになかったよ。優秀な部員達だね」
「まあな」
ふっ、と三ツ谷の頬が緩む。それにつられてAの顔も緩んだのがわかった。
彼女は本当に可愛らしい。運動も勉強も平々凡々だが芸術面では常に頭１つ抜けている。器用と言うよりは技術を持っており、１つのことを極めるのが得意。レパートリーが少ないだけでセンスも良いし実は弱いところも魅力的だ。
理科室での事件さえなければここまで関わることはできなかっただろう。例え好きになったとしても、思いを拗らせながら眺めるだけで終わっていたかもしれない。クラスで３番目に可愛いタイプの女子とは、即ち１番モテる女子のことを指すわけだから。
……Aにとって自分は今どういう存在なのだろう。彼女の望む姿で存在できているのだろうか。なんて思っていたところに落とされた爆弾はとても大きなもので。
「明日晴れますか？」
三ツ谷は思わずポカンとしてしまった。彼女は少し怯えたように目をそらす。きっと無意識だったのだろう。恥じらいも何も感じない淡々とした問いだったから。
応えてあげるべきなのだろうか。でも勘違いならあまりにも滑稽すぎるし、明日が晴れるかどうかを決めるのは彼女だ。彼女が望むなら、明日は晴れるから。
「急だな…。天気予報の通りなら晴れるんじゃないか？」
「……そっか。なら良かったよ」
だから答えはこれで良い。
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匿名希望：我妻さん(プロフ) - runaさん» ありがとうございます！ (2021年8月26日 13時) (
レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
runa - お忙しい中三ツ谷君視点も書いていただきありがとうございます。とっても美味しいです(？？？) (2021年8月26日 11時) (レス) id: 318f1a5b3c (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望：我妻さん(プロフ) - 宿題がっ…………済まない………だと……？数日間更新しないかもしれません (2021年8月23日 19時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望：我妻さん(プロフ) - インパルスって描くの大変すぎません？難しいんですけど…… (2021年8月11日 17時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望：我妻さん(プロフ) - 彼が語る、幸せな世界線の物語。 (2021年8月8日 2時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名希望:我妻さん x他1人 | 作成日時：2021年8月8日 1時
