事の発端 ページ3
クラス替えが終わり、だんだんクラスメイトにも馴染み始めた時期。梅雨に入る前の微妙な気候の中……事件は起こった。
今日の理科はイオンについて調べるとかなんとかで、実験をする時間だった。クラスメイト達は退屈な授業より実験の方が好きなようで、少し騒がしい。その様子を彼女__一Aは呆れた顔で見ていた。
クラスで3番目に可愛いタイプ、そう男子達が言っていたはずだ。常にマスクを付けているため表情は読み取りにくいが、決して悪い人ではないことは周知の事実。なので初めから好感度が高い部類には入っていた。
(あっちから話しかけて来るとはな)
そういうわけで、理科室での席が近いこともありペアを組んだ2人だが、まさかこうなるとは思ってもいなかっただろう。
実験の過程で汚れてしまった試験管を洗うのに、Aのセーラー服の袖はとても邪魔だったらしい。だから彼女は三ツ谷に頼んだのだ。
「ごめん、ちょっと袖捲って」
「いや先に捲っとけよ……」
「それはそうなんだけどね。ホントごめんよ」
「別に良…い…………は?」
それが失敗だった。Aの袖を捲った瞬間に三ツ谷はフリーズした。別に女子の生腕に思わず……みたいな理由ではない。八戒じゃあるまいし。
彼の視線の先には……蝶や花、蔓といった女子らしいデザインの刺青があった。何を隠そう、目の前のクラスメイトの腕にだ。
「あっ」
それに気づいたAもフリーズしたため、蛇口から垂れ流しにされた水の音だけが2人の耳に入る。そして2人は同時に行動を起こした。
Aは試験管をまとめて水に突っ込み、僅か3秒で試験管立てに戻すという荒業を。三ツ谷は彼女の袖を引っ掴んで下ろすという大事な仕事を。
たかがそれだけの行動なのに、2人の呼吸はとんでもないことになっていた。ハァ、ハァ、と息を吐き、片付けるためにビーカーを手に取ると、Aに告げられた。
「あとで生徒会室な」
と。
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匿名希望:我妻さん(プロフ) - runaさん» ありがとうございます! (2021年8月26日 13時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
runa - お忙しい中三ツ谷君視点も書いていただきありがとうございます。とっても美味しいです(???) (2021年8月26日 11時) (レス) id: 318f1a5b3c (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 宿題がっ…………済まない………だと……?数日間更新しないかもしれません (2021年8月23日 19時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - インパルスって描くの大変すぎません?難しいんですけど…… (2021年8月11日 17時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 彼が語る、幸せな世界線の物語。 (2021年8月8日 2時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名希望:我妻さん x他1人 | 作成日時:2021年8月8日 1時