検索窓
今日:8 hit、昨日:14 hit、合計:80,466 hit

ページ15

「__家、逆方向だったんやね」


三ツ谷宅に向かう道中でAは呟いた。多少は雨が弱くなったが、まだやむ様子はない。傘を握りしめ、三ツ谷の腕に自身の腕を絡めてすがる彼女は弱々しいことこの上ない姿だ。


たしかに彼女を送るたびに往復している道だが、自分が好きでやっていることだ。あまり気を悪くしないでほしい。


「あー…、まあな」


「迷惑やない?」


「んなわけねぇよ。__ほら、着いたぞ」


三ツ谷の自宅であるアパート。存在感を放つ彼の愛機(インパルス)と三ツ谷家の表札がAを出迎えた。


傘をたたみ、同じく傘をたたんだAの手を引いて扉を開く。ルナにあらかじめ風呂を沸かすよう頼んでいるから、とりあえずはなんとかなるだろう。


扉を開くと、待ってましたと言わんばかりにマナルナが走ってきた。そういえば彼女は初対面のはずだが……大丈夫だろうか。


「おかえりー!」


「お風呂沸いたよ!」


「ただいま。ありがとな」


「「うん!」」


彼がマナルナの頭を撫でてやれば、2人は嬉しそうにニコニコと笑った。そしてAの方をパッと見ると、すぐさま飛び付くようにして抱きついた。まあそうだろうな。


「わっ」


「美人好きぃー♥」


「好きぃー♥」


「こらこら、姉ちゃんが困ってるだろ。悪いな」


「全然。可愛くて良い子やん」


なぁ?とAはマナルナの頭を撫でる。そう言ってもらえると兄として純粋に嬉しい。2人はそれがお気に召したようで、靴を脱いだばかりの彼女の手を引っ張って家の奥までご案内している。


そのまま彼女は居間の座布団にストンと腰を下ろさせられる。誰に似たのやら2人は美人好きなので、Aは格好のエサと言っても過言ではないだろう。まあしばらく遊ばれるんだろうな、とAは内心で苦笑いを浮かべた。


「お姉ちゃん冷えてるね…」


「大丈夫?」


「んー、もとはと言えば私が鍵忘れちゃったのが悪いから。大丈夫だよ」


「そんだけ身体冷やしておいて何言ってんだ」


「ごめんなさい」

*→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (114 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
431人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

匿名希望:我妻さん(プロフ) - runaさん» ありがとうございます! (2021年8月26日 13時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
runa - お忙しい中三ツ谷君視点も書いていただきありがとうございます。とっても美味しいです(???) (2021年8月26日 11時) (レス) id: 318f1a5b3c (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 宿題がっ…………済まない………だと……?数日間更新しないかもしれません (2021年8月23日 19時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - インパルスって描くの大変すぎません?難しいんですけど…… (2021年8月11日 17時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 彼が語る、幸せな世界線の物語。 (2021年8月8日 2時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:匿名希望:我妻さん x他1人 | 作成日時:2021年8月8日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。