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気持ち ページ11

それから1ヶ月くらいして、もうすぐ梅雨入りという季節になった。カーディガン越しに感じる風は生暖かく、湿っぽい。頼み事をされるくらいはクラスに馴染めていた。


マイキーにAを紹介した日から、彼女が危険な目に遭わないようとよく送って帰るようになった。同級(タメ)相手にしては過保護かもしれないが、そうしないと気が済まない。


さて、時期はもうすぐ期末テストという憂鬱なものになってしまった。その関係でこの時期は全く集会が行われず、子猫ちゃん(インパルス)をトばす回数も減る。そして憂鬱なわけはもう1つあって。


「文化祭、かぁ……」


帰り支度を済ませたAがそう溢した。中学校にも関わらずなぜか毎年行われる文化祭。1日開催なので実質学校公開日のようなものだが、受験シーズンの3年生としては曖昧な気持ちになるイベントだ。


そのためクラス別の出し物こそ無いが、無情にも部活ごとの出し物は存在する。三ツ谷の手芸部もAの美術部も例外ではなかった。


「そっちは何やるん?」


「服の製作&展示。そっちは?」


「毎年恒例のイラスト展示。もう来客も飽きてくるんじゃないかな」


「気持ちはわかる」


彼女はため息をついた。三ツ谷は毎年のように手の込んだ製作をするため、嫌でも時間がかかってしまう。家事があるので部活外の製作時間はあまり確保できず、最終下校時間ギリギリまで居残るなんてしょっちゅうだった。


「……ま、お互い頑張ろうや」


「そうするか。じゃあな」


「またね」

**********

部活も何もない休みの日。眩しい晴天を遮る日陰の中、違う場所で同じ会話が行われようとしていた。


「三ツ谷ってさ、Aのこと好きー?」
「Aちゃんは三ツ谷のこと好き?」


「「……え?」」


マイキーとその妹エマに連れ出された2人は、まったく別の場所で同じような話題を持ち出されたのだ。わかっている。この年になると色恋の話が聞きたくなることくらい。


だがしかし、なぜピンポイントで互いの名を出されたのかがよくわからなかった。


「……よくわからねぇよ」
「……どうなんだろうね」


だから今はこんな答えで許してほしい。

ぬくもり→←*



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匿名希望:我妻さん(プロフ) - runaさん» ありがとうございます! (2021年8月26日 13時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
runa - お忙しい中三ツ谷君視点も書いていただきありがとうございます。とっても美味しいです(???) (2021年8月26日 11時) (レス) id: 318f1a5b3c (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 宿題がっ…………済まない………だと……?数日間更新しないかもしれません (2021年8月23日 19時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - インパルスって描くの大変すぎません?難しいんですけど…… (2021年8月11日 17時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 彼が語る、幸せな世界線の物語。 (2021年8月8日 2時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:匿名希望:我妻さん x他1人 | 作成日時:2021年8月8日 1時

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